2006年9月14日
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富士写真フイルムの「FinePix S9000」。 |
富士写真フイルムの「FinePix S9100」は、一眼レフさながらの大柄のボディーに大口径高倍率レンズを装備する高機能デジタルカメラだ。2005年7月発表の従来機「FinePix S9000」の後継機にあたり、同社が“ネオ一眼”(電子ビューファインダー装備のレンズ一体型デジタルカメラ)と呼ぶ、新しいクラスの高機能デジタルカメラのフラッグシップ機である。
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大柄なボディーに大径レンズという構成は一眼レフデジタルカメラさながら。シャッターボタンにはリモートレリーズ用のネジ穴が設けられているほか、レンズ右下にはシンクロ端子も用意されている。 |
レンズ一体型のFinePix Sシリーズは「S304」や「S602」、「S5000」など、同社デジタルカメラ製品群の中でも歴史の長いシリーズであるが、従来からのモデルが“大きめボディーで使いやすい高機能望遠機”を目指していたのに対し、S9100では“一眼レフデジタルカメラの互換として使える”ことを目指している印象を明確に受ける。
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レンズは望遠側にすると大きく伸張する。モードダイヤルに加えて電子ダイヤルも大きめでカチッとした回転なのが心地よい。 |
撮像素子は1/1.6インチ有効903万画素の“スーパーCCDハニカムHR”を採用し、光学10.7倍ズームレンズは35mm換算で28〜300mmと、広角から望遠まで幅広くカバーできるのはS9000と同様だ。
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左手でサポートしたときに親指の位置にAFモードレバーやINFO、マクロボタンがくるようになっている。AFモードボタンの中央はワンプッシュAFボタンで、MF時にAFを効かせてからピントをマニュアルで持っていくのに便利。 |
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グリップ部はシャッターボタンのある前傾した前上部に加え、親指の掛かりがある背面など複雑な形状をしておりホールド性は非常によい。写真では、液晶パネルの上側を引き出してハイアングル用の角度にしている。 |
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背面にある液晶ディスプレーは2.0インチと、S9000の1.8インチから若干大きくなった。液晶パネルが二重ヒンジ構造を備え、フリップアップ式に液晶パネルの下側を手前に引き出せるためウェストレベル(腰だめ位置に構えてのローアングル)撮影が可能となり、上側を引き出せばハイアングル撮影が可能となるのもS9000と同様だ。
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EVFの隣にあるのはAEモード選択レバーとAEロックボタン、EVFと液晶モニタの切り替えはその下にあるEVF/LCDボタンで行なう。EVF/LCDの下にあるのはピント確認用で、画面中央部がデジタルズームして表示される。 |
液晶ディスプレーのサイズ以外の変更点としては、画像処理エンジンの改善によって高感度撮影時のノイズを低減するとともに、AF速度向上(最大1.8倍)などが図られている。そのほか、FinePixシリーズのコンパクト機ではすでに導入されている“iフラッシュ”(露出に合わせたフラッシュ自動調光機能)、撮影時に最大3コマまで直前に撮影した画像を画面左側に表示してパノラマ撮影を補助する“アシストウィンドウ”機能などが装備されている。
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ローアングル撮影用に液晶モニタの下側を引き出した状態。レンズ部に装着しているのは標準付属の花形フード。 |
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本体の右側面はSDカードスロット、下面には電池室が設けられている。 |
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記録メディアはxDピクチャーカードとCFの2スロット構成、電源は単3電池×4本の点もS9000から変わりないが、液晶パネルが大きくなったこともあって電池寿命は若干短くなった(ニッケル水素充電池使用でS9000が約340枚だったのに対し、S910は約320枚)のは残念。とはいえ、アルカリ乾電池も利用できるので出先などで電池切れになってもすぐにリカバーできる安心感はある。
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モードダイヤルを回転させると画面上に大きくアイコンが表示される。ちょっと使い慣れればEVFを目に当てたままでも露出補正ボタンやAEロックボタンの位置は分かるものの、モードダイヤルのポジションは回してみないと分からないところもあってかなり便利。 |
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ボディー左側面のINFOボタンを押せばどんな表示モードでも現在のステータス(撮影可能枚数やシャッター速度/絞りなど)が表示されるほか、もう一度押せばリアルタイムヒストグラム、さらに一度押せば画質やホワイトバランスのモード(画像の左側にある四角い部分)が表示される。DISPボタンで変更される画像モードとは別に情報表示モードが選べるのは面白い。 |
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横幅で128mmというサイズはレンズ交換式一眼レフデジタルカメラのコンパクト機に匹敵するサイズだけに、しっかり握りこめるグリップや各種ボタン類の配置は安心して撮影できる。特に同社としては珍しい存在である可変アングル液晶ディスプレーは非常に使いやすく、極端なハイアングルやローアングルだけでなくウェストレベル撮影を多用できるのは画作りに凝りたいカメラユーザーにもありがたい。
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サンプル1 最低ISO感度であるISO 80での撮影結果。露出はオートに任せているが、明るい部分に引っ張られることもなく暗部まできちんと撮れている。低ISO感度下では非常にノイズが少ないが、やや望遠よりだったこともあって拡大画像を見ると若干手ぶれが発生している。プログラムオート、1/40秒、F4.6、ISO 80。元画像は3488×2616ドットで、640×480ドットにリサイズおよびトリミングしたほかの補正はかけていない。 |
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サンプル2 ISO 800での撮影結果。拡大するとざらつき感はあるものの、高感度低ノイズをうたわないデジタルカメラではISO 100〜200でもこの程度のノイズが出ることを考えれば驚くほどの低ノイズな画像となっている。プログラムオート、1/210秒、F5.6、ISO 800。 |
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サンプル3 最高感度であるISO 1600での撮影結果。リサイズ画像を見るとそれほど気にならないが、原寸トリミングを見るとノイズによってかなり荒れているのが分かる。絞り優先オート、1/450秒、F5.6、ISO 1600。 |
液晶ディスプレーやEVFの表示を“DISPボタン”で切り替えることができるのはコンパクト機と同様で、画面上のステータス表示やグリッド表示、アシストウィンドウや表示なし(被写体のみ表示)などが選べるが、どのような表示モードでも側面のAF切り替えレバー部にある“INFOボタン”を押せばステータス表示となる。画面上に各種ステータスを表示させると被写体が文字や数字で隠れてしまい見づらくなることもあるため、必要なときだけ表示させられるのは便利だ。
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サンプル4 マクロ撮影などで絞り込みたいときに、手ぶれを抑えるためにISO感度を高めてシャッター速度を維持できるのは重宝する。ISO 400でも十分に実用域の画質となっている。絞り優先オート、1/20秒、F7.1、ISO 400。 |
マニュアル操作を重視しているだけあってAFや露出補正などの機能には専用ボタンが用意されており、撮影時の各種機能へのアクセス性は良好だ。“Fメニュー”によって撮影時の感度や画質を選択、カーソルキー中央の“MENUボタン”によって細かな設定というFinePixシリーズに共通する操作性も残してあるほか、モードダイヤルを回すと画面上で説明付きアイコンが回るアニメーションが表示されるなど、デジタル一眼レフ入門者(特に“FinePix”シリーズのコンパクト機からのステップアップユーザー)にとって分かりやすい操作系になっているのは好感が持てる。
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サンプル5 35mm換算で188mmの望遠域で撮影。特に望遠域では手ぶれしやすいことを考えれば、感度をやや上げてシャッター速度を確保できるのはありがたい。プログラムオート、1/400秒、F6.4、ISO 400。 |
画質に関しては、やや彩度を強調気味ながらそれほど不自然ではなく鮮やかな発色となっており、FinePixシリーズならではの絵作りと言える。今回のモデルチェンジの目玉とも言えるノイズ低減処理はなかなかのもので、低感度域ではほとんどノイズが感じられず、ISO 400クラスまでなら普段での撮影に供して問題はないと思えるほどだ。ISO 800となるとややノイズは増えてくるものの印刷したりリサイズすればほとんど気にならなくなるレベルで、ノイズ低減技術を大幅に強化していることがうかがえる。
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サンプル6 低感度域ではまったくといっていいほどざらつきは見られない。マクロモードは広角側で約10cm、望遠側で約90cmまで近接でき、スーパーマクロモードは広角端固定だが約1cmまで近接撮影可能。絞り優先オート、1/200秒、F4.0、ISO 80。 |
とはいえ、ISO 1600ではまだまだノイズが多く、特に夜景などのように高感度かつシャッター速度の遅い状況下ではかなりざらついてしまう。もちろんノイズ低減技術は進歩してきており、他社のISO 1000前後の画像に比べるとノイズは少ないのだが、やや薄暗い程度の場所で十分シャッター速度を上げるために使うならともかく、夜景撮影などにはしっかりとした三脚の使用をお勧めしたい。
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サンプル7 液晶パネルの可変アングル機能により、人垣の上から俯瞰で撮影するような場合でもフレーミングできるのが非常に便利。広角側で撮影。プログラムオート、1/320秒、F2.9、ISO 100。 |
同社が“ネオ一眼”という名称でレンズ一体型望遠機を立て続けに強化してきたのは、最近一段と入門クラスの一眼レフデジタルカメラの普及が進んでいるのもかかわらず、同社の「FinePix S3Pro」(2004年7月発表のレンズ交換型一眼レフデジタルカメラ)より下位となる機種がないことへの対応だと推測される。
もちろん一眼レフデジタルカメラとレンズ一体型デジタルカメラをまったく同列に比べることは難しいが、レンズを何本も用意して被写体に合わせたレンズの選択を考えることなく、光学10.7倍ズームひとつで各種の被写体をカバーでき、CCDに載るゴミ(レンズ交換時に撮像素子が露出するため、レンズ交換型一眼レフでは撮像素子にゴミが付着することがある)を気にすることもない点は初心者のみならずとも大きな魅力となるはず。さらに可変アングル液晶という一眼レフデジタルカメラにはほとんどない機能は、さまざまなアングルでの撮影が楽しめるなど利点が多く、各種情報を一目で確認できるEVFの利便性も高い。“ネオ一眼”は単に一眼レフの“代替”やステップアップの“過程”といった存在ではなく、新世代のハイエンドデジタルカメラ足りうると期待させる一台だ。
| FinePix S9100の主なスペック |
| 製品名 |
FinePix S9100 |
| 撮像素子 |
有効903万画素 1/1.6インチスーパーCCDハニカムHR |
| レンズ |
f=6.2〜66.7mm(35mmフィルムカメラ換算時:28〜300mm相当)、F2.8〜4.9 |
| 静止画撮影 |
最大3488×2616ドット |
| ISO感度 |
オート、ISO 80/100/200/400/800/1600相当 |
| 動画撮影 |
640×480ドット/30fps |
| 液晶ディスプレー |
2.0インチTFTカラー液晶パネル(約23万5000画素) |
| ビューファインダー |
0.44インチEVF(23万5000画素) |
| 記録メディア |
xDピクチャーカード/CF Type II |
| インターフェース |
USB、AV出力、DC入力(ACアダプターは別売)、アクセサリシュー、シンクロ端子 |
| 電源 |
単3電池×4本(アルカリ乾電池/ニッケル水素充電池対応) |
| 撮影可能枚数 |
約120枚(アルカリ乾電池)/約320枚(ニッケル水素充電池) |
| 本体サイズ |
128(W)×129(D)×93(H)mm |
| 重さ |
約650g(本体のみ)/約760g(装備重量) |
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(行正 和義)
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