DIGITAL BUYER

IXY DIGITAL1000 ついに1000万画素に到達したハイエンド“IXY DIGITAL”
IXY DIGITAL1000
キヤノン
オープンプライス
(実売価格:5万3000円前後)

http://cweb.canon.jp/camera/dcam/index.html

2006年10月5日

デジタルカメラ高画素化の流れはコンパクトデジタルカメラにも及んでいるが、ついにコンパクト機の定番とも言うべき“IXY DIGITAL”にも1000万画素機が登場した。キヤノンの「IXY DIGITAL 1000」は、1/1.8インチ有効1040万画素CCDと光学3倍ズームレンズ、2.5インチ液晶ディスプレーなど、いかにもIXYシリーズらしい仕様となっている(関連記事)。

「IXY DIGITAL 1000」
キヤノンの「IXY DIGITAL 1000」。

 レンズは35mm換算時37〜111mm相当で、同時に発表された「IXY DIGITAL 900 IS」(光学式手ぶれ補正+広角28mm)ほどの特徴はないが、ハイエンドモデルだけにいわばスタンダードな“IXYスペック”を優先しているということだろう。また、900 ISでは小型の1/2.5インチCCDを搭載しているのに対し、本機ではIXYシリーズのハイエンドモデル伝統である1/1.8インチCCDを搭載している。

前面
ボディーのチタン表面は凝った仕上げが施されていないこともあってやや地味な印象を受けるフロントフェイス。とはいえレンズ周囲の鏡面部など、いかにもIXYシリーズらしいデザインとなっている。
上部
前後のパーツが曲線で合わさる最近のIXYと違い、ストレートな組み方となっている前後ボディーシェル。楕円形の電源ボタンなどもシンプルなデザインだが、隣にある電源ON時に光るインジケーターや上部スピーカーの孔なども同じ楕円となっているなど細かなところで凝っている。

 メタリックなボディはIXYシリーズの伝統だが、ボディーに純チタン素材を採用するのは新しい試みだ。チタンは軽量性・高剛性・非アレルギーなどの特徴からゴルフクラブのシャフトやメガネのフレームなど各種分野に使われている部材だが、本機では無塗装のままの“むく”の金属で利用されており、チタンの錆びにくく傷つきにくいという特性も活用されている。

側面
側面部の黒い部分は樹脂製となっている。左側面には小さな突起があって縦に置いたときの足となる。右側面は上半分がフタで、内部にはUSBとAV出力コネクタが配置されている。

 IXYシリーズは、当初から航空機用ジュラルミンの削り出し素材を使うなど、剛性と質感に特にこだわっているのだが、航空機や各種機器でも最先端部材なチタンを使うというのもIXYハイエンド機にふさわしいと言える。なお、ここ最近のIXYシリーズはボディーの前後で異なる色と素材のシェルを組み合わせる手法が用いられているが、本機では前後ともにチタンで同色同素材となっており、樹脂製の両側面のみがデザイン上のアクセントとなっている。ボディー全体が2トーンの従来機(「IXY DIGITAL 70/80」など)に比べると、少し落ち着いた印象になった。

 撮影機能やインターフェース自体は従来のIXYシリーズから大きく変更されておらず、基本的にはプログラムオートやシーンプログラムを組み合わせたもの。絞り優先・シャッターボタン優先などの機能は備わっていないものの、IXY/PowerShot系列に共通するFUNCキーの撮影時メニューのおかげで、露出補正を初めとした撮影時の操作は簡単に行なえ、操作感は極めていい。

背面
液晶ディスプレーとモードダイヤル、円形カーソルに合わせて微妙な曲面を描く背面部。液晶表示は撮影時のステータス表示+撮影補助用グリッドライン。

 また、円形のカーソルキーは“タッチホイール”と呼ばれるインターフェースが導入されている。これは「IXY DIGITAL 80」で初めて採用されたもので、カーソルに指を置くと画面上に各種機能を示す“ホイールアイコン”が表示され、アニメーションによって今どの方向に指を置いているのかが示されるというもの。カーソルキー自体がタッチ(半押し)を感知する機能を搭載する必要があるため採用する機種は少ないのだが(同時発表された900 ISなどには採用されていない)、インターフェース的に面白いだけでなく指を置くことで見えなくなるカーソルのアイコンがビジュアル的に指示されて使い勝手にも大きく貢献する。

縦位置にした背面
円形カーソルの上下左右を軽く押すと画面上にアイコンが表示され、触った部分がわずかに大きくなる。

 画像認識によって“人の顔”をはっきり写すべくAFと露出合わせを行なう“フェイスキャッチテクノロジー”が搭載されているほか、高感度撮影はISO設定で最高1600相当まで可能となっている。さらにシーンプログラムとして“ISO 3200”モードも用意されている。これは複数の画素信号を合成することで高感度にしつつノイズを抑えるもので、その分記録画素数は1600×1200ドット(200万画素相当)に制限される。通常撮影の最大記録画素数が3648×2736ドットだから、1/4以下になる計算だ。画素合成による高感度モードは最近のデジタルカメラに採用が進んでいるものだが、“IXYシリーズ”ではまだ珍しい存在だ。他社のデジタルカメラでは画素合成による高感度は600万画素→300万画素といった具合に1/2程度に抑えている中で、1/4まで小さくなる製品は少ない。それだけ多くの画素から低ノイズ画像を合成しているわけなので、確かにノイズはかなり抑えられた映像が生成される。

付属品一覧
AV・USBケーブルを除く付属品。本体下面の電池/SDカードスロットのフタの部分にはラバー系素材でできた小さなフタがあり、電池と同形状のアダプターを使ってDC入力が可能となっている。

 このほか、内蔵重力センサーによって縦位置で撮影すれば縦に表示され、再生時にも縦位置で見れば画像が自動的に回転するなど、便利な機能も従来のIXYから継承する。バッテリーは900 ISと同じく新型の“NB-5L”充電リチウム電池を採用し、撮影可能枚数は約230枚と、IXY DIGITAL 700の約150枚から大幅に伸びている。丸1日の撮影にも安心して利用できるだろう。



 従来からのIXYシリーズとの違いは手に取ってみるとすぐに実感でき、剛性感の高さや手になじむ感触はすこぶるいい。IXY DIGITALシリーズ伝統の表面加工はなく、前面にある“CANON”のモールドだけが指掛かりなのでホールド性はさほど良好とは言えないが、背面のモードダイヤルの突起(本来はダイヤルを回しやすくするためのノブ)に親指を掛けることができるようになっているため、あわてても取り落としにくいのはありがたい。

サンプルその1
アップ
サンプル1 中央部・周辺部ともに目立つ画質低下は見られず、細部のディテールや質感も良好だ。プログラムオート、1/640秒、F2.8、ISO感度オート。元画像は3548×2736ドットで、掲載用に640×480ドットへそれぞれリサイズとトリミングを行なったほかの画像補正は掛けていない。
サンプルその2
アップ
サンプル2 彩度はやや強調され気味ではあるものの、青空などもすっきりと、木の緑は自然な発色となっている。プログラムオート、1/250秒、F8.0、ISO感度オート。

 起動やズーム時の際のレンズ駆動音がやや大きいのは気になったものの、電源ボタンの押し応えなどのきっちりとした操作感は良好だ。さすがに1000万画素だけあって解像感はなかなかのものがある。小サイズ高画素撮像素子の流れには、1画素あたりで受ける光量が減少するなどの理由から敬遠される向きも確かにあるが、被写体の質感など細部のディテールを写し込めるのはやはり強力だ。最新の画像処理エンジン“DIGIC III”(ディジックスリー)の威力もあってかなりノイズは抑えられ、低ISO感度での明るいシーンであればノイズはほとんど気にならない。強いノイズ低減処理がかかると、ざらつきを抑える画像処理によってやや“べたっ”とした印象になってしまうカメラが多い中で、本機はエッジの処理や質感を残すなどかなり見ごたえのある絵となっている。

サンプルその3
アップ
サンプル3 通常撮影では最短50cm、マクロモードでは広角側で5cm、望遠側で30cmまで近接できる。プログラムオート、1/160秒、F4.9、ISO 80。

 特に高感度撮影においてもかなりの低ノイズの絵となっているのは見事だ。ISO 1600ではさすがにかなりざらついて輝度ノイズも見られるが、ISO 800まではかなり“使える”レベルと言えるだろう。この種のノイズはリサイズ(複数ドットの平均化)によって低減でき、リサイズしても画像の細部があまりつぶれない高画素記録はその意味でもありがたい。

サンプルその4
アップ
サンプル4 低感度域では夜景でも非常にノイズ感のないクリアな画像となる。シャッター速度は通常モードでの最長である1秒(メニュー内で長時間露光設定を行なえば最長15秒まで可能)。プログラムオート露出補正+1、1秒、F2.8、ISO 80。
サンプルその5
アップ
サンプル5 最高感度ISO 1600での夜景撮影。シャッター速度は1/15秒と、ぎりぎり手持ちでもなんとか撮れるレベルではあるものの暗部でのノイズが目立つ。プログラムオート露出補正+1、1/15秒、F2.8、ISO 1600。

 IXY DIGITALシリーズはスタイリッシュ・コンパクト機というジャンルでは先駆け的存在であり、かつ最も成功した製品と言えるだろう。スリムボディーや高級感のある外装などを取り入れる他社製品も続々と登場し、機能競争の激しいデジタルカメラの中では大きな差別化ができないのは事実であり、画素数以外にハイエンドらしさを演出すること自体も難しいと言える。本機では、高級素材であるチタンを使うことでボディーの剛性と高級感を高めている。今回同時発表された900 ISに“広角28mm”や“光学式手ぶれ補正”などの機能面の特徴は任せており、本機はストレートなIXYらしいスペックを搭載しているため、ハイエンドとしては物足りない印象を受けるかもしれないが、“IXY DIGITAL”らしさをストレートに追求したモデルとして、安心して使える製品に仕上がっている。

サンプルその5
アップ
サンプル6 ライトアップされた夜の風景を、ISO感度別に比較したもの。
IXY DIGITAL 1000の主なスペック
製品名 IXY DIGITAL 1000
撮像素子 有効1000万(総1040万)画素、1/1.8インチCCD
レンズ 光学3倍ズーム、f=7.7〜23.1mm(35mmフィルムカメラ換算時:37〜111mm)、F2.8〜4.9
静止画撮影 最大3648×2736ドット
ISO感度 オート/高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600相当
動画撮影 1024×768ドット/15fps、640×480ドット/30fps(MotionJPEG圧縮AVI形式)
液晶ディスプレー 2.5インチ低温ポリシリコンTFT(約23万画素)
記録メディア SDHC/SDメモリーカード(32MB)/MMC
インターフェース USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力
電源 リチウムイオン充電池(NB-5L)
撮影可能枚数 約230枚(CIPA準拠)
本体サイズ 91.2(W)×28.2(D)×59.6(H)mm
重さ 約165g(本体のみ)

(行正 和義)




[通常ページに戻る]
ASCII24 http://ascii24.com/
Copyright (C)2000-2008 ASCII Corporation. All rights reserved.