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XA-HD500 圧縮音源で失われた高域の信号を復元できる“CCコンバーター”を搭載
XA-HD500
日本ビクター(株)
オープンプライス
0120-2828-17
http://www.victor.co.jp/


2005年11月29日

 日本ビクター(株)の『XA-HD500』は、同社の携帯音楽プレーヤー“alneo”(アルネオ)シリーズとしては初めてのHDD搭載型モデルである。

本体
前面と背面。縦横のサイズはiPod miniとほぼ同じ。前面にはヘアライン処理、背面には鏡面処理が施されている。

 本体には1インチのHDDを内蔵しており、容量は6GB。縦横のサイズはアップルコンピュータ(株)の『iPod mini』(生産完了)とほぼ同等で、4mm程度厚くなるかわりに、本体重量は10%ほど軽い約90gになっている。

 本体は完全な直線ではなく、側面から見ると中央がやや厚くなるなど独特の曲線で構成されているが、思いのほか手になじむ。30時間の連続再生時間も1インチHDD搭載機としてはおそらく最長だろう。測定条件はメーカーによって異なるが、1インチHDDを搭載する機種ではソニーの『NW-A1000』(ウォークマンA)が約20時間、クリエイティブメディアの『ZEN NEEON』の約16時間。フラッシュメモリー採用の『iPod nano』が約14時間となっており、1.5〜2倍程度の長時間駆動が期待できる。

トップメニューには8つのアイコンを用意。十字キーで選択して使用するもので、直感的に使える
液晶画面にはアナログとデジタルの2種類の方法で時刻を表示することも可能。

 本体のメニュー構成も奇をてらったことのないごくシンプルなもので違和感なく利用することが可能だ。パソコンから音楽ファイルを転送する際には『Windows Media Player 10』(以下WMP10)を使用。対応OSはWindows XPのみだが、WMP10さえインストールしてあれば、ドライバーなどの追加なくすぐに利用できる。

WMP10
Windows Media Player 10

 XA-HD500のセールスポイントのひとつが音質だ。“音作り”にはビクタースタジオのレコーディングエンジニアが参加し、プロの耳による独自のチューニングが施されたという。最大の特徴は“CCコンバーター”の搭載だ。CCは“Compression Compensative”の略で、デジタルデータから本来のアナログ信号の波形を類推し、それをリアルタイムに復元しながら再生する、ビクター独自開発の高音質化技術である。MP3やWMAといった不可逆の圧縮音源で特に効果があり、原音に近いより自然な音色で音楽を楽しめるというのがふれこみだ。同社製AVアンプやミニノートパソコンの“InterLink”シリーズにも採用例がある。

 また、CCコンバーター以外にも、より豊かな低音が楽しめる“デジタルAHB”(Active Hyper Bus)や5種類の音場効果が選択できる“E.サラウンド”、ユーザーが自由にカスタマイズできる5バンドのイコライジング機能などが用意されている。全体に音質のカスタマイズに関してはかなりこだわった機能が用意されている印象だ。

カナル型ヘッドホン
新たに用意されたカナル型ヘッドホン。

 付属ヘッドホンも耳栓のような形状で密閉感の高い“カナル型”となり、直径8.5mmと小型ながら、ネオジウムマグネットの採用などによりパワフルな低音と繊細な中高域の再生が可能だという。



高圧縮のMP3ファイルで特に効果を感じるCCコンバーター

 XA-HD500の音質は全体に素直で、聞き疲れしない。今回は女性ボーカルのポップス、サルサなどのラテン音楽、オリジナル楽器による小編成のバロック、クラシックギターなど、アコースティックな楽器を使った音楽CDをWMA形式(192kbps)で保存して聴いてみた。中高域に厚みがある反面、高域の伸びはやや控えめで、ギターを指ではじいた際のアタックの鋭さ、ボーカルの滑らかな質感などをもう少し求めたい気もするが、バランスはよく、ホワイトノイズも少ない。iPodはクリアーで明瞭な音だが、ややそっけない印象もあるので、もう少し温かみのある音で音楽を聞きたいという人には本機が向いているかもしれない。ヘッドホンは付属のカナルタイプのほか、SHUREの“E4c”、AKGの“K171 STUDIO”、オーディオテクニカの“ATH-A55”など数種類を試してみたが、もし追加でヘッドホンを購入するなら、個人的には大き目のユニットを採用したオーバーイヤータイプの製品、できれば開放型をお勧めしたい。音量はそれほど上げられないのだが、よりゆったりとした気分で音楽を楽しめそうだ。

プレイリスト
音楽再生中に前面中央の“Enter”ボタンを長押しすることにより、気に入った極を簡単にプレイリスト化することが可能
トップの“Setting”アイコンからサウンドモードを選ぶことで“CCコンバーター”や“E.サラウンド”の設定変更が可能。頻繁に変更するなら、ファンクションメニューに登録することもできる。

 CCコンバーターの効果に関しては、今回比較的低ビットレートのWMAファイル(64kbps)とMP3(128kbps)と高ビットレートのWMAファイル(192kbps)を用意して聴き比べてみた。CCコンバーターの効果は当然のことながら、低ビットレートのファイルのほうが大きい。オンにすると、特に中高域でオフの状態では聞こえなかった音を感じるようになり、音に広がりや伸びが出てくる。逆に高ビットレートのファイルでは、この差が縮まり、かなり注意して聞いても違いが分からない程度の差になる。

 補間処理と言っても音に不自然な強調が出ることはないので、安心して常時オンにしておける。再生可能な形式がWMAとMP3(ともに最大320kbps)のみで、非圧縮のWAVE形式や可逆圧縮(ロスレス)の各種フォーマットに対応していない点がやや残念だが、6GBのHDDに低ビットレートでたくさんの曲を詰め込んでも、圧縮音源で感じがちな音の薄さやこもりを軽減できるのは魅力的だ。

上面と底面
上面(写真上)にはヘッドホン端子とHOLDボタンと底面(写真下)にはクレードル接続端子とUSB端子をそれぞれ用意する。
操作ボタン
メニュー選択に使用する上下左右+Enterボタンの5Wayボタンに加え、4隅にもボタンを配置。上の2つは再生/停止ボタン(長押しで電源のオン/オフ)、メニューの上の階層に戻るためのボタン、下の2つがユーザーがカスタマイズできるファンクションボタンになる。

 音場感を変化させる“E.サラウンド”の出来もよく、音の雰囲気がガラリと変わる。“エナジー”“クリスタル”“ハートフル”“サブウェイ”の4種類が用意されており、エナジーであればボーカルなど中域部分の厚みが高まると同時に、より広い空間を感じるといった具合に、ネーミングどおりの効果が得られる。XA-HD500は十字キーの右下と左下にカスタマイズ可能な“ファンクションキー”を2つ装備しており、ここにE.サラウンドを割り当てておき、曲のイメージに合わせて最適な設定を選べるようにしておくといいだろう。



リモコンとクレードルが付属、コンポとの連携も楽しい

 XA-HD500にはクレードルと赤外線リモコンも標準で付属しており、クレードルにはAC電源やUSBコネクタのほか、コンポなどに接続するためのLINE-OUT出力も備えている。リモコンの操作ボタンはXA-HD500のフロントパネルと同一レイアウトになっており、XA-HD500の機能をすべて利用できる。他社製品ではリモコンは大抵オプションで、提供されていてもプレイリスト選択や再生/停止など最低限の操作しかできないことが多いので、この点はメリットになる。

リモコンとクレードルが標準添付
XA-HD500にはリモコンとクレードルが標準添付される
フォントサイズ
フォントサイズ
フォントサイズ
フォントサイズ
フォントサイズは2段階に選択可能。“オート”にすると、クレードルに本体を置くと自動的に大きなフォントサイズが選択される

 離れた場所から操作すると液晶表示が見られないのではないかと思うかもしれないが、設定により、クレードルに本体をセットすると自動的に文字が拡大できる点も芸が細かい。HDDプレーヤーは、据え置きで利用した場合でも、CDやMDなどと違ってメディアを入れ替えることなく、たくさんの曲を連続して演奏できるという特徴がある。詳細な楽曲情報の表示やアルバムをまたいだシャッフル再生などもでき、使い勝手も上々だ。今回、XA-HD500を、筆者の自宅にあったプリメインアンプの『PM-15S1』とスピーカーの『SX-500DE』に接続して音楽を聴いてみたが、音質が思いのほか高かったのも印象的だった。

クレードルの背面
クレードルの背面にはACアダプター接続とUSB 2.0用のコネクターに加え、LINE-OUT出力も装備する

 このように、XAーHD500は使いやすさを第一に考えた操作性と30時間の長時間駆動、ビクターの独自技術が採用された高音質設計、コンポとの連携性などが特徴となる。外見は極めてオーソドックスで、奇抜なデザインや機能を売りにした競合他社に比べてやや地味な印象を持つかもしれないが、音楽プレーヤーに必要な機能がバランスよく、違和感なくまとまった極めて真面目に作られた製品であるとすぐに分かる。

 2005年11月現在の実売価格4万円弱となっており、NW-A1000(3万円弱)などほぼ同容量のHDDプレーヤーと比較して1万円程度高い価格設定となるが、リモコンやクレードルといった周辺機器が付属する点を考えるとそれほど割高感はない。またビクターエンターテインメント(株)が運営している音楽配信サイト“na@h”(なあ)では、配信する音源をエンコード前に高音質化する“K2プリ処理技術”を利用した圧縮音源の配信(約150曲)を10月1日から開始しており、この音源をXA-HD500のCCコンバーターと組み合わせることで、CDを上回る情報量で音楽再生が可能になるとしている。こういった新しい取り組みにも期待したい。

XA-HD500の主なスペック
製品名 XA-HD500
容量 6GB
再生フォーマット MP3、WMA(WMA-DRM対応)
対応ビットレート 8〜320kbps
連続再生時間 最大30時間(64kbpsのMP3ファイルを再生時、バックライトやサウンド効果はオフ)
充電時間 ACアダプタ:約3.5時間
USB:約3.5時間(5V、500mA)
インターフェイス USB 1.1/2.0(Hi-Speed対応)
サイズ(W×D×H) 51.5×16.9×91.6mm
重量 約90g(バッテリ装着時)

(編集部 小林久)




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