2006年4月4日
初のハードディスク搭載PDAとして話題になったザウルス「SL-C3000」の登場から一年半、早くもシリーズ第3世代ともいえる「SL-C3200」が登場した。今回のモデルチェンジでは、SL-C3000の登場以来、初めて内蔵HDDの容量が4GBから6GBへと増加され、プレインストールの“英語学習コンテンツ”がさらに充実したのが大きな特徴だ。
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写真1 SL-C3000以来、一貫して形状や各インターフェースの配置などに変化はない。色はメタリック系の白、黒、シルバーを基調とした配色に遷移している。 |
ウィルコムのWindows Mobile搭載端末「W-ZERO3」の人気が高まる中、同じシャープ製のPDAである“ザウルス”シリーズの存続について、不安を抱くユーザーも少なくないだろう。しかし、シャープはほぼこれまでと同じペースで、着実に成長したザウルスSL-C3200をリリースした。ここでは、従来機種であるSL-C3000/C3100と比べた相違点を中心に紹介したい。
HDDが6GBに増強
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写真2 SL-C3000で採用された、携帯電話と同じような円形スクロールキー、Ctrlキーもそのままだ。 |
OSにLinuxを採用し、キーボードと2軸回転ヒンジのVGA液晶ディスプレーを持つザウルス“SL-C”シリーズは、2002年11月発表の「SL-C700」以来、8モデルがリリースされてきた。この変遷については、シャープのサイトに大変わかりやすい製品比較表が掲載されているので、SL-Cシリーズの歴史に興味のある方はこちらを一読されるといいだろう(シャープのZaurus-SLシリーズ製品比較表サイト)。
本体形状や各インターフェースの配置などは、SL-C3000/C3100/C3200ともにまったく変わらない。ただし、カラーリングはそれぞれ白/ガンメタリック/シルバーメタリックを基調とした配色となっており、機種の違いは一目で分かるようになっている。ハードウェア的な変更点は、SL-C3100で内蔵フラッシュメモリーが16MBから128MBに大幅に増加されたこと、さらにSL-C3200になって内蔵HDDがそれまでの4GBから6GBに増加されたことだ。これらの仕様変更とプレインストールソフトの改変により、HDDのユーザーエリアや出荷時空き容量も変化しているが、今回は空き容量が一気に2GBほど増え約4.5GBとなり、容量増大の恩恵をユーザーがそのまま受けることができる。
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画面1 システム情報のユーザーエリアを確認すると、本体ディスクが約6GB、空き容量が約4.5GBになっているのがわかる。 |
このほか比較表からは見えない違いだが、SL-C3100から付属ACアダプターが変更されている点にも注目したい。SL-C3000までは、携帯電話機の付属ACアダプターと同様の薄型でコンセントへの差し込み金具部分が折りたためる「EA-72」が付属していたが、SL-C3100からは、一回り大きい「EA-75」に切り替わった。これにより対応電圧が100-240Vになり、多くの海外での利用も可能になった。ちなみに、W-ZERO3に付属のACアダプターも同じEA-75だ。
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写真4 前面背面。 |
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写真5 左右側面。 |
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新TOEIC対応、NOVA CITYなど、
英語学習重視のプレインストールコンテンツ
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画面2 ホーム画面のコンテンツタブには、収録されているコンテンツの一覧が並ぶ。乗換案内やTextToSpeechなどのソフトはアプリケーションタブにも表示されている。 |
SL-C3100で、初期状態からホーム画面に“コンテンツ”タブが用意されたが、SL-C3200でもこのタブは同様に存在する。コンテンツ内容の主な変更点は、英語学習のためのソフトが非常に充実したことである。例えば、“TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)(※1)”関連ソフト(中でも「ジーニアス14日集中コース各種」は今年5月の新TOEICテスト対応になっている)、「NOVA CITY 中級編」、英文読み上げソフトの「Text To Speech」が収録されたことなどだ。逆に、SL-C3100に収録されていた「記憶道場」、「ゴルフレッスン系コンテンツ」、「ビジネス文書の基本」、「プロジェクトX」などの読み物系、および一部の英語コンテンツが未収録あるいは別売となった。より英語学習重視のコンテンツ選びが行なわれたと言えるだろう。
※1 TOEIC is registered trademark of Educational Testing Service(ETS).This (publication/product/website) is not endorsed or approved by ETS.
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画面3 NOVA CITYでは、ステップ毎にビデオ、ボイス、テキストBOOKのデータが収録されている。 |
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画面4 NOVA CITYに収録されているビデオの1シーン。音声だけやテキストだけよりも感覚的に理解できる。英文字幕付き。 |
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各英語学習コンテンツは、シャープが提唱する電子コンテンツフォーマット“XMDF”の機能をフル活用しており、画面を操作して音声設問を再生したり、英文の中でマスクされた単語をタップして表示をオンオフするといったインタラクティブな学習が可能になっている。表計算データによる“進捗管理表”も用意されており、NOVA CITYではシチュエーションビデオやボイスファイル、XMDF形式の学習テキストBOOKなど、様々な方法で英語に触れられるようになっていて、これならより実践的な英語学習ができると感じた。ザウルス1台があれば、テレビやラジオ、テキストといった英会話教材と同等の学習が可能であることを実感できる。
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画面5 ボイスファイルは、一言ごとに別ファイルになっているため、早送りボタンや一曲リピート再生機能が有効活用できる。 |
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画面6 XMDF形式のデータは、画面操作による音の再生や文字のマスクなどが可能だが、それらの機能が有効利用されている。 |
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Text To Speechは、英語のテキストを音声で読み上げてくれるソフトだ。ウェブブラウザーやメールソフトなど、ほかのソフトの英文をコピーして起動するとクリップボード内の英文を自動的に取り込むので、後は再生ボタンを押せば読み上げが始まる。設定により、起動直後から自動的に読み上げを開始させることも可能だ。想像以上の品質で読み上げてくれたので、英語を耳になじませるヒアリング学習のツールとして英語のニュースサイトなどを日々閲覧するのも良いだろう。読み上げた文章を別途ファイルに保存することもできる。
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画面7 同梱されている進捗管理用。表計算形式になっており、進捗度などを自動計算してくれる。 |
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画面8 Text To Speechは、英文を読み上げてくれるソフト。英語がめっきりな筆者には少し読み上げペースが速いと感じたが、“英語耳”を作るための良いツールになるだろう。 |
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フォトストレージ、モバイルマップnavi、乗換案内の連携が強化
PIM(個人情報管理)ソフト、ウェブブラウザーの「NetFront 3.1」、メールソフト、ザウルスショット、ザウルスドライブ、ワープロ、表計算ソフト、メモ帳、音楽/動画再生ソフトなど、ザウルスの伝統的なソフトはほぼ従来通り搭載されている。ワープロ、表計算ソフトについては、SL-C1000から多くのテンプレートが収録されたのがうれしい。地味だが実用的な改善点といえるだろう。
今回、別売ではあるがカノープス(株)のパソコン用動画ファイル変換ソフト「かんたん換太郎 for ZAURUS」がオンライン販売され、シャープのプレスリリースにも盛り込まれているのは心強い味方だ。動画ファイルには様々なフォーマット(およびパラメーター)が存在し、各ハードウェアに最適な変換のための設定を探すのは、かなりの手間とノウハウを必要とする。ハードウェアメーカーが認定した専用変換ソフトの存在は、多くのユーザーにとって、安心して購入できる頼もしい存在になるだろう。
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画面9 容量の大きいJPEG画像も扱え、デジタルカメラのメモリーカードから一気に内蔵ハードディスクへコピーするなどの機能も備えるフォトストレージも、バージョンアップされた。 |
そのほかにバージョンアップが確認できたソフトは、「フォトストレージ」と「モバイルマップnavi」、「乗換案内」だ。フォトストレージは、exif情報に記録されたGPS位置情報を元にモバイルマップnaviを起動したり、逆にモバイルマップnavi側から対象位置の画像を指定して起動できるようになった。なお、SL-C3200に内蔵されたフォトストレージはVer 1.1.0だが、SL-C3100/C3000ユーザーはモバイルマップnavi対応の新バージョンVer 1.0.2をシャープのサイトからダウンロードできる(ザウルスフォトストレージの公式ページ)。
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画面10 乗換案は時刻表対応版となり、実際の発車時間にあった検索が可能になった。モバイルマップとの連係機能も追加されている。 |
また乗換案内もバージョンアップされ、“時刻表対応版”になるとともに、検索結果の駅名をタップしてモバイルマップnaviで駅周辺の地図を確認できるようになった。この機能を利用するには、「乗換案内時刻表対応版2006年2月版以降」と「モバイルマップNavi Ver 2.0以降」である必要がある。いずれもSL-C3200には最新バージョンが搭載されているので問題ないが、従来機種のユーザーがこれらの機能を利用したい場合は、製品版を購入するなどしてバージョンアップする必要がある(乗換案内for Zaurusの公式ページ/モバイルマップNaviの公式ページ)。
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画面11 フォトストレージや乗換案内との連動機能が強化されたモバイルマップ。乗換案内の検索結果画面から、九段下駅周辺の地図を表示させてみたところ。 |
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画面12 モバイルマップのサイトからダウンロードした無線LANスポットデータを追加登録すると、地図上にアンテナアイコンが表示されるようになる。アイコンをタップすると、このような登録データが表示される。 |
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なお、モバイルマップNaviのサイトでは、無線LANスポットの位置情報データなども配布されている。確認したい無線LANスポットサービスのCSVデータをダウンロードして、指定されたディレクトリに保存。あとはファイルを指定するだけで、地図上にアイコンが表示され、タップして詳細情報を確認できるようになる。なかなか便利で楽しい機能なので、ぜひ使ってみてほしい。さらに、自分で作ったデータをCSVデータとして作成することもできるので、自分の足で調べたオリジナルデータを作成して、オンライン配布すれば、ザウルスユーザー同士で便利に活用できるだろう。
ザウルスのこれから
ここまでSL-C3200について、今回は主に従来製品からの変更点に注目して見てきたが、やはりハードディスクの容量アップ、一部コンテンツの差し替えとソフトのマイナーバージョンアップに留まった感は否めない。
ユーザーのブログなどでは、今回の仕様については“残念”と思われている方も多いようだ。特に、無線LANやBluetoothなどの無線通信機能が標準搭載されなかった点については、私も多少同じような感想を持った。かたや、W-SIMスロットと無線LAN機能を内蔵したW-ZERO3が登場したことが、少なからず影響しているとも想像される。
しかし、ザウルスが持つノートパソコンに近いデザイン、大容量HDD、高音質内蔵スピーカー、多彩なインターフェースによる拡張性といった特徴を活かして、電子辞書ユーザーにも強く訴求していこうというシャープのアプローチは高く評価したい。現在の専用電子辞書では対応しきれない、通信手段を限定しないウェブブラウズ、電子メールなどの機能拡張性、逆に通信を必要としないオフラインでの多彩なコンテンツ利用、ザウルスショット、ザウルスドライブ、Outlookとのシンクロといったパソコンとの親和性……など。これらを活かしたPDAメーカーの雄としてのシャープの取り組み、そしてザウルスのより一層の成長を、これからも期待していきたいと思う。
| ザウルス SL-C3200の主なスペック |
| 製品名 |
ザウルス SL-C3200 |
| OS |
Lineo uLinux |
| CPU |
Intel XScale PXA270-416MHz |
| 本体メモリ |
SDRAM 64MB(ワークエリア)+フラッシュメモリ 128MB |
| HDD |
6GB(出荷時空き容量 約4.5GB) |
| モニタ |
3.7型 バックライト付き透過型システム液晶(感圧式タッチパネル) |
| 解像度 |
640×480ドット/6万5536色(30万7200画素) |
| カードスロット |
SDカードスロット×1、CFカードスロット(TypeII)×1 |
| I/O |
USB 2.0×1、ステレオヘッドホン×1、IrDA(115kbps) |
| 電源 |
DC3.7V、リチウムイオン充電地(EA-BL11、取り外し/交換可能) |
| 消費電力 |
3.2W |
| サイズ(W×D×H) |
124×87×25mm |
| 重量 |
約298g(タッチペン、保護カード、I/Oポートカバー、充電地含む) |
| Office |
Microsoft Officeとファイル互換のあるHancom製品搭載 |
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(藤田 実)
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