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エプソンダイレクト(株)の「Endeavor Pro3500」は、ミドルタワー型ケースを採用した同社のフラグシップデスクトップパソコンである。同社のハイエンドシリーズ「Endeavor Pro3000、Pro3300」の流れを汲む製品で、インテル(株)の最新デュアルコアCPUに対応するとともに、デュアルグラフィックスカード(GPU)にも対応するなど、プラットフォームのポテンシャルが大幅にアップしている。もちろんEndeavorシリーズの特徴であるBTOシステムにも対応しており、パーツ構成は柔軟にカスタマイズしてオーダーできる。 前モデルであるPro3300との大きな違いとしては、選択できるCPUの種類が最新ラインナップにアップデートされたことが挙げられる。特に主力CPUであるPentium Dシリーズのラインナップは、従来のコード名“Smithfield(スミスフィールド)”コアの“Pentium D 800”番台から、最新の“Presler(プレスラー)”コアの“Pentium D 900”番台のモデルへと進化した。Pentium D 900番台と800番台との大きな違いは、製造プロセスルールを90nmから65nmへと微細化するとともに、2次キャッシュメモリーの容量を倍増し、各コアごとに2MBずつ、合計4MBもの大容量キャッシュを搭載した点にある。一般にキャッシュの容量が多ければ多いほど要求される命令やデータが2次キャッシュにある確率(キャッシュヒット率)が高くなり、低速なメインメモリーへのアクセスが省けるために、パフォーマンスアップにつながるとされている。2つのコアがシステムバス(FSB)とメモリーバスを共有するアーキテクチャーを採用するPentium Dでは、キャッシュ増量でメモリーアクセスが省けることによる効果は大きく、有効に機能する場面が多いと思われる。 Pentium Dのさらに上位となる、「Pentium エクストリームエディション(Pentium XE) 955」も選択可能だ。こちらもSmithfieldコアのPentium XE 840から、Preslerコアの955に変更されている。Pentium XEはFSBも高速化され、800MHzから1066MHzへとクロックアップした正真正銘のフラッグシップCPUだ。デュアルコアに加えて各コアがハイパースレッディング機能を備えているので、論理CPU数は4基にもなる。 一方シングルコアのPentium 4も従来同様に選択可能で、Pentium 4 630〜670までの5種類が揃っている。なおPro3500で選択可能なCPUは、すべて64bit拡張技術のEM64Tに対応しており、64bit OSおよび64bitアプリケーションと組み合わせて使うことで、大きなパフォーマンスアップの可能性を秘める。OSに「Windows XP Professional x64 Edition」を選択も可能で、これを選択した場合はメインメモリー(DDR2 SDRAM)を最大8GB搭載できるなど、64bitアーキテクチャーを生かせるオプションが用意されている。現時点では64bit OSを利用しなくとも、64bitコンピューティングへ対応できる拡張性、将来性を備えているという意味でも、心強いといえるだろう。 ATI Radeon X850XTの2枚差し「CrossFireキット」も選択可能システムの核となるチップセットは、Intel 975X Expressを採用している。これはPro3300が搭載していたIntel 955X Expressの後継となる最上位チップセットで、955Xの仕様を引き継ぎつつ、PCI Express x8を2レーン装備可能とすることで、グラフィックスカード2枚差し(デュアルGPU)に正式対応している点が大きな違いと言える。Pro3500が搭載するマザーボードは台湾ASUSTeK Coumputer社の「P5WD2-E」で、PCI Expressx16スロットを2本搭載(CrossFire時はx8として動作)し、カナダATIテクノロジーズ社のデュアルGPU技術(ビデオカードの2枚差し)「CrossFire」に対応する。BTOメニューで選択できるオプションにも、グラフィックスカードとして「ATI Radeon X850XT」を2枚セットにした「CrossFireキット」を用意されており、X850XT単体の2倍近いグラフィックス性能を発揮する。これ以外にもグラフィックスカードの選択肢は豊富で、ATI Radeon X1800 XT(512MB)、NVIDIA GeForce 7800GTX(256MB)といったハイエンドグラフィックスカードを軸に、Radeon X1800 XL(256MB)、GeForce 6600GT(128MB)、GeForce 6200TC(16MB)など、ミドルレンジ〜エントリーまで多彩な選択肢が揃っている。
ストレージも非常に充実している。搭載HDDはネイティブコマンドキューイングに対応したシリアルATA II対応HDDを採用。バッファに溜めたリードコマンドを並べ替えてアクセスすることで無駄なシーク動作を省くため、ランダムアクセスの高速化が期待できる。容量は80GB、160GB、250GBに加えて、500GBも選べるようになっており、最大4台まで内蔵可能だ。さらにチップセットのI/Oコントローラー側“ICH7R”を利用したRAID構成も選択できる。複数台のHDDに分散アクセスすることでディスクアクセスを高速化するRAID 0、データをミラーリングして保護するRAID 1、そして両者の利点を組み合わせたRAID 10が可能だ。最大でなんと2TB(RAID 0)という超大容量も選択できる。
優れたメンテナンス性と冷却性能、静音性を誇る
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ミドルタワー型のケースは、Pro3300から継承されたものだ。冷却効率とメンテナンス性に優れた、完成度の高いオリジナルの高級ミドルタワーケースで、デザイン的にもフラッグシップらしい存在感を醸し出している。ケース各部にはブルーの樹脂製アタッチメントが装着されているが、これらはサイドカバーや各種パーツのロックとして機能し、サイドダクトや拡張カードスタビライザー、HDDに光学ドライブ、そして拡張カードまで、すべての構成パーツが工具不要のレバー操作で、着脱できる仕組みになっている。
静音性も優秀だ。シャーシには肉厚のスチールを採用しており、光学ドライブやHDDとの共振が皆無。インテルが提唱するシャーシの熱設計基準“38℃シャーシ”(※1)に準拠しており、サイドカバーにはCPUに直接フレッシュエアーを供給できるサイドダクトを装備する。また背面には大型12cm角のケースファンを装備して、効率よいエアフローを実現している。このCPUファンとケースファンのいずれも、負荷に応じて自動的に回転速度を調整する回転速度制御に対応している。今回の評価機はPentium D 930-3GHz、Radeon X1800XT、シリアルATA RAID0(2台)という構成でテストしたが、初回の起動時こそ少し大きな音がするものの、ゲームやビデオエンコードなどを実行した場合でも、意外なほど静かなままに利用できた。
※1 CPU周辺温度を38℃以下に抑える熱設計のシャーシの通称。正式には“Thermally Advantaged Chassis(TAC)”。TACにはCeleron D/Pentium 4を対象とするTAC 1.0と、Pentium D/Pentium Extreme Editionを対象とするTAC 1.1がある。それではPro3500の実力はどの程度なのか、ベンチマークテストを行なって検証してみた。評価対象として先代であるPro3300とPro3000の結果を掲載しているのだが、Pro3300はCPUにPentium D 840-3.20GHzを搭載していたのに対し、Pro3500評価機はPentium D 930-3GHzと、CPUクロックはPro3300のほうが200MHz高くなっている。その他のシステム構成は表のとおり。
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「PCMark05 1.0.1」は、パソコンの一般的な用途をシミュレートして性能計測を行なうもので、ウェブページ表示とファイル暗号解読はそれぞれ単独のテスト、オーディオ変換とビデオエンコード、テキスト編集(検索&置換)や画像表示(JPEGのデコード)は、それぞれ並行して実行するマルチタスク環境を想定したものとなっている。
「PCMark05 1.0.1」の“System Test Suites”から抜粋した(長いほど高速であることを示す)。CPUのクロックで200MHz勝るPro3300のほうが全般的に高速だが、画像表示やテキスト編集では2次キャッシュ増量の効果があるのか、Pro3500も近いスコアに迫っている。 |
計測結果を見ると、CPUのクロック差で上回るPro3300のほうが優秀で、すべての項目で良い結果を残している。しかしテキスト編集と画像表示では、Pro3500もPro3300に迫るスコアを出しており、キャッシュ増量の効果は感じられる。
続いてはビデオ変換ソフト「TMPGEnc 3.0 Xpress」によるビデオ変換処理時間テストを行なった。
「TMPGEnc 3.0 Xpress」を用い、220MBのAVIファイル(DVコーデック)をDVDクオリティーのMPEG2ムービーに変換するのにかかった時間を計測(短いほど高速であることを示す)。Pro3300とPro3500の差は5秒(約3%)。Pro3300 のほうがCPUクロックが200MHz高いことを考慮すれば、Pro3500が健闘しているといえる。 |
TMPGEncでのテストでも、やはりクロック差を覆すことはできず、Pro3500も健闘したがPro3300のほうが好成績だった。
3Dグラフィックス系のテストとしては、定番の「3DMark05」(1.2.0)と「FinalFantasy XI Official Benchmark 3」(FFベンチ3)の2種で計測したが、結果は対照的。DirectX 9.0世代のフィーチャーに対応した3DMark05では、Pro3500が他を圧倒しているが、FFベンチ3ではPro3300のほうが好成績を収めた。
Pro3500が搭載するRadeon X1800XTは一世代前のハイエンドエンドGPUであるRadeon X850XTに大差をつけるほど高性能なGPUだ。しかし事実上DirectX 7世代の技術しか使わっていない古い世代のゲームでは、その能力も十分には生かせない。そのためCPUがボトルネックとなってグラフィックスカードの差が反映されず、CPUクロックの差がそのままスコアに反映されているのだろう。
CPUのクロックが統一できていないため、歯切れの悪い見解しか出せないのが辛いところだが、Pentium Dの900番台と800番台の性能面にかかわる差は、2次キャッシュの倍増のみといっていい。テストの結果からは、確かにその効果は認められるものの、クロックの差を覆すまでのものではないということがいえる。
結果的にPro3300のほうがスコアが高いテストが多いが、BTOシステムを採用する以上、構成パーツによって性能が左右されてしまうのは仕方のないことだろう。Pro3500では800番台の最高モデルであるPentium D 840-3.20GHzよりも、クロックの高いPentium D 950-3.40GHzが選べるほか、CrossFireキットやRadeon X1800XTなどの高性能なグラフィックスカードが選べるなど、現在のトレンドによりマッチした構成が選べるようになっている。そういった全体でのブラッシュアップが新モデルのアドバンテージといえる。
IntelのLGA775プラットフォームを採用したEndeavor Proシリーズは、Pro3000、Pro3300に続き、Pro3500で3世代目の製品となるが、もともと定評のあるシリーズだけに完成度は非常に高い。最新のCPUに対応するだけでなく、グラフィックス性能、ストレージ性能もトレンドに応じた強化が図られており、性能面、機能面ともに文句のない仕上がり。ノートパソコンや省スペースパソコンなどでは得ることができない突出した性能と機能に加え、将来的な拡張性、さらに静粛性、メンテナンス性と、ハイエンドマシンに求められる要素をすべて満たしている。「とにかく最高性能のパソコンがほしい」というハイエンドユーザーの要求にしっかり応えられる仕上がりの製品となっている。もちろん、本製品のターゲットは究極のハイエンドを求めるユーザーに限らない。EndeavorシリーズならではのBTOメニューで、最小構成で12万4950円から柔軟なパーツ選択が可能になっているため、予算や目的に応じたコーディネイトが可能。究極のハイエンドまでは不要でも、クオリティーのしっかりした本格派のPCがほしいという方にもぜひ検討してもらいたい製品だ。
(鈴木 雅暢)
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