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ワンランク上のSXGA液晶選び いつも使うからこそこだわりたい
ワンランク上のSXGA液晶選び

アスキー PC Explorerアスキー PC Explorer 2002年7月号
2002年8月10日


XGAクラスとSXGAクラスの
価格差は意外に少ない

 普及価格帯の液晶モニタは、XGA(1024×768ドット)表示とSXGA(1280×1024ドット)表示の2クラスに大別できる。どの解像度を選択するかで悩む人も多いだろうが、今回は長い間使えるスペックを持った製品として、16インチと17インチのSXGAクラスの液晶モニタ11機種をピックアップした。

 SXGAのメリットは、言うまでもなく画面が広いことだ。表示可能な情報量は、解像度で比較してXGAの約1.7倍。XGAでは画面の狭さを感じることが多いExcelや、ツールパレットで画面が埋め尽くされがちなフォトレタッチソフトの使用時などに、高解像度はとりわけメリットが大きい。
 SXGAクラスは高いのでは? と考える読者は、下に示したサイズ別の価格帯チャートを見てほしい。を見れば一目瞭然なように、一般的な15インチXGA液晶の価格帯とSXGA液晶のエントリークラスである16インチSXGA液晶の最安値の差額は、およそ1万円程度でしかない。手を伸ばせば充分届く範囲なのだ。ユーザーにとってPCとの数少ない接点であるモニタは、毎日見て、しかも2年や3年といった長いスパンで使用する周辺機器だ。だからこそ、数万円を惜しんで、後々に後悔するということは避けたいものだ。

 さて、本特集は2部構成とし、前半部分(本記事)では見過ごしがちな購入時のチェックポイントを挙げ、次週掲載予定の後半部分では全11製品のレビューを行っている(誌面掲載時のアスキー PC Explorer 7月号では、レビューに加えてプロ用計測器による性能チェックも行なっている)。失敗しない製品選びに役立てていただければ幸いだ。

液晶価格チャート
図 売れ筋液晶モニタにおけるサイズ別の価格帯チャート

15インチの買い得感は
2001年ほどではない

 上のは、主要メーカー各社の主な液晶モニタ製品の価格を、画面サイズ別に分布図として表したものだ。15インチクラスは製品数が非常に多いため、1/2程度に間引いて掲載しているが、価格の上限下限の分布は、ほぼ図のとおりと考えて差し支えない。

 15インチXGAクラスは、5万5000円以下のエントリーモデルと、6万円以上のハイエンドモデルに価格帯が分かれている。4万円台の低価格モデルも存在するが、安価な製品が次々に登場した2001年半ばに比べると、パネル単価の上昇に伴い、製品数は激減している。
 この状況は、メーカーの販売戦略にも関係がある。4万円台となると、コストを切り詰めるためにコントロール基板も実装済みでスタンドを後付けするだけの「スマートパネル」を使わなければならず、メーカーの独自性も発揮しにくくなる。差別化を図る意味でも、価格競争からは脱したいのだ。

幅広い選択肢を持つ
SXGAクラスが「買い」だ

 16インチ、17インチのSXGAクラスは、2001年半ばからの価格推移を見ると15インチに比べて値上がりは緩やかだ。価格帯にかなりの幅があることがこのクラスの特徴で、16インチで6〜8万円、17インチは7〜9万円と、ユーザーの予算、用途に応じた選択肢が豊富に用意されている。
 上図で「バリューゾーン」として示したのは、15インチXGAクラスに対して付加価値があるという意味合いだ。

 画面サイズを選ぶ際には、価格画面のドットピッチがポイントになる。16インチは、価格面で有利だが、ドットピッチがやや細かい。目が疲れやすい人は、17インチを選択するほうがいいだろう。17インチはこの逆である。
 とはいえ、ディナーのように17インチながら高級16インチ並みの6万9800円で購入できるモデルも存在する。本特集のレビューを参考に店頭で画質を見た上で、購入を検討してみてもいいだろう。

コラム1
色ムラ、輝度ムラはなぜ起こる?

色ムラ解説
図A 色ムラや輝度ムラの例(極端に輝度が変わった場合を示したもの)
 液晶の「ムラ」は全画面で白を表示した場合に特に感じやすい。液晶の一部分に陰りを感じたり、黄色い味の強い部分を感じたりといったことから輝度ムラ、色ムラの存在を確認できる。

 現時点における輝度ムラ、色ムラの最大の原因は、視野角の狭さによるもので、観察者に相対した表示面との角度が、画面周囲と中心部とで異なってしまうことから生じる(図A)。特に一般的なTN方式(別ページの技術解説を参照)の液晶では、上下視野角が狭く、画面の上と下が暗く感じられる場合が多い。色合いも、上に黄色の強い部分、下に青みの強い部分というような不均一さを感じてしまう。視野角の狭い液晶だと、色ごとの放射指向性が異なるために起きる現象だ。
 2番目の要因は、バックライト機構の不出来によるもので、蛍光管からの光を均等に拡散しきれない場合に、暗い領域がムラとして認識されてしまうため。ただし、最近はバックライト機構の質が上がったため、明確な陰りがあるモニタは減っている。ほとんどが視野角に起因するものだ。





チェックポイント その1
輝度、視野角、応答速度

 液晶モニタを選ぶ際に着目する、最も基本的なポイントとしてこの3つを挙げる人は多い。にもかかわらず、各項目の数値の良しあしが、実際の使用時にどのように影響するかを正確に理解している人は少ない。「スペックが高いほど優れている」と考えるのは、ある意味で間違いではない。ただ、個々のスペック項目の意味と効果を熟知していれば、予算に応じた的確な選択が可能になるのも事実だ。
 3つの中で特に大切なのが、上下左右方向の実用視野域を示す「視野角」だ。視野角は、画面に正対せず、上下左右方向から画面を見る際のスペックだと思われがちだが、本当に重要なのはこの点ではない。むしろ、視野角が狭いと、正面から画面を見ている時点でも、中央付近と四隅との色味が異なってしまうことこそが問題なのだ(コラム1参照)。パネルサイズが大きいほど、この傾向は顕著になるので、17インチクラスを選択する際には特に重視したい。

 画面の明るさを示す「輝度」は、PCでDVD-Video再生を楽しむなどの、TV的な用途で液晶モニタを使う際に重要な項目だ。輝度を上げると、画面のコントラストが高まって表現にメリハリが付き、ブラウン管に近い視聴感が得られる。もっとも、Webブラウジングや文書作成など、一般的な用途では最高輝度はほとんど使わないことも知っておこう。画面を凝視し続ける場合は、輝度が高いと白が眩しくなり、かえって目が疲れやすくなる。こうした用途では、実際には最高より数段落とした輝度を常用する場合がほとんどだ。

 動画や3Dゲームを楽しむ機会の多いユーザーにとっては、動画再生時の残像現象も気になるところだ。最近の液晶パネルではそれほど顕著ではないものの、画面が大きくパンするシーンや、動きの激しいCGなどでは、人によっては目に付くことがある。そこで「応答速度」の項目を見る訳だが、この項目は目安程度と考えておいたほうがいい。例えば、輝度レベルが1/2になる時間が同じ(すなわち応答速度の数値が同じ)だったとしても、見比べると1/2以下のレベルの残像が目に見えて長く尾を引くケースもある。
 つまり、仕様上の定義と、視覚的な印象を左右するレベルとが一致していないのだ。このため、モニタAが25ms、モニタBも25msで数値上の応答速度は共通なのに、残像感がA=Bにはならないという矛盾が生じる。同じ理由で、35msのパネルと25msのパネルの差異も、数値での印象ほどには明確ではない。もし、応答速度を重視するなら、店頭の実機で確認するといいだろう。

チェックポイント その2
sRGBへの対応

 「sRGBへの対応」は、同クラスの中でも比較的高めの機種にうたわれていることが多い。
 sRGBとは、色再現性能の基準の1つで、色再現範囲、色温度、ガンマなどの各要素に共通の基準を規定して、色再現性の標準化を図る目的で作られた(コラム2)。sRGB対応製品は、製品間で相互に色再現性が保証される。したがって、画像の信頼性、同一性が重要なDTP、印刷といったグラフィクス関連の用途にはなくてはならないスペックといえる。

 とはいえ、画像の品質を問わない家庭ユースや一般のビジネスユースには、sRGB対応はさほど重要ではない。このスペックに対応しない製品をあえて選択するのも、導入コストを抑える有効な選択だ。もちろん、sRGBで規準化されていたほうが、より“正しい画像”を見ていると言う意味で価値はある。ただ、一般的なアプリケーションにおける画質は、ユーザーの好みの差が大きい。例えば、テキスト中心の用途では、画面の輝度を落とし、背景の白をおとなしくした“長時間見つめても目が疲れにくい画質”が好まれやすい。正確な色再現性という条件だけを誰もが望んでいる訳ではないので、闇雲に「sRGB対応機」にこだわる必要はない。

コラム2
sRGBって何?

 sRGBの基準は、おおよそ一般のCRTモニタの標準値のレベルが選ばれている。一例を挙げると、基準白色を色温度6500K、ガンマ値は2.2、モニタの白の観察条件(輝度)は80cd/m2といったものが定義として盛り込まれている。また、色の表現範囲が明確に定義されており、色再現域が狭いモニタはsRGB対応をうたえない。  「CRTの標準値」をsRGBとして改めて定義した背景には、現実のモニタが、製品間や設定条件、経年変化などで、色再現性能に大きなバラつきがあることが挙げられる。

 業務における画像のレタッチは、その画像が“標準的な”環境で作成されていることが大前提だ。表示色に偏りがあるような、特殊な再現性のモニタで作成したのでは、例えばデザイナーから印刷会社にデータを渡した(ほかの環境で表示させた)際に、画像品質(色)が意図したものと違ってきてしまう。これでは画像の受け渡しに不都合極まりないので、一定の基準によって標準化されたモニタが必要になるわけだ。もちろん同じ理由で、Webの場合でもコンテンツの作成側はsRGBで標準化するのが望ましい。

コラム3
3種類のインターフェイス

端子の種別
写真A アナログRGB(D-sub15ピン)とDVI-I(アナログ/デジタル両対応)、DVI-D(デジタル専用)の端子形状の違い。

3種類のインターフェイス
D-subDVI-IDVI-D
アナログ×
デジタル×

 左から、D-sub15ピンのアナログRGB、DVI-I、DVI-D。DVI-IとDVI-Dは、左端にある「−」型の端子形状で区別できる。「−」型端子の上下に2つずつ小さな端子が並ぶのがDVI-Iだ。デジタル、アナログの対応を間違えないよう、対応関係を上ので確認しておこう。

(伊藤 哲)



チェックポイント その3
入力インターフェイス

 液晶モニタのインターフェイスは、アナログ(D-sub)、アナログ対応デジタル(DVI-I)、デジタル専用(DVI-D)の3種類がある。特にデジタルの2方式はコネクタも似ており間違えやすい。この機会に仕様の違いを覚えておこう(前ページのコラム3写真A)。

 DVIは「ビデオカードによって相性がある」とよく言われる。残念なことにこれは事実だ。DVIは統一規格の1つだが、厳密なタイミングやビデオ信号の通信仕様などの点で、まだ曖昧な部分がある。互いの通信タイミングがズレていると、モニタは繋がっているのに、ビデオカードが「繋がっていない」と判断して信号を切ってしまう。これが相性問題の主な原因と言われている。メーカーもこの問題は認識しており、Webサイトで動作確認をしたビデオカードのリストを公開している場合もある。

 また、2台のPCでモニタを共有するために、D-subとDVI-D、DVI-IとDVI-Iといったような2系統入力搭載機を選択するユーザーもいるだろう。頻繁に2台の画面を切り替えるなら、入力系統の切り替えが容易に行えるかどうかも確認しておきたい。ボタン1つで切り替え可能な「ワンタッチ切り替え」を装備していればベストだ。逆に、OSDメニューを表示させ、さらにカーソルを動かして階層を下りなければ切り替えられないような機種は、一考の余地ありととらえたほうがいいだろう。

チェックポイント その4
さまざまな付加機能

 製品の良し悪しを左右するほどの要素ではないが、USBハブや、スピーカ、ビデオ入力の装備も、あると便利な機能という意味で選択時に加味する要素だ。特にビデオ入力は、ビデオデッキと組み合わせて使うことで、TVチューナ機能のない液晶モニタが、TV代わりにも使用可能になる。
 また、本体の薄さを生かしてパネル部分だけをアームスタンドなどに設置するなら、本体背面に設けられることが多い統一規格の取り付け穴「VESAマウント」への対応もチェックしておこう。

 このほか、VGAやSVGA解像度を全画面に拡大表示する「スムージング機能」への対応も、ゲームを楽しむユーザーなら見ておきたい。今どきスムージング非対応の機種はほとんどないが、スムージング時のシャープネス調整の有無は、まだ機種ごとにバラつきがあるのが実情だ。
 いずれにしろ、付加機能の搭載は価格に反映される。吟味して取捨選択した上で、価格、表示性能のバランスを考えて製品を選択してもらいたい。

コラム4
「擬似フルカラー表示」の方法とデメリット

端子の種別
写真B 本来ならば単色になっていなければならないはずだが、マウスカーソルがあるあたりの階調には別の色のドットが混ざっている。

 液晶パネルカタログの表示色数の項で、「擬似フルカラー」という言葉を目にしたことはないだろうか。1ドットあたり3万2000色程度の表示性能の液晶パネルを、表示方法を工夫することで見た目にはフルカラー(1677万色)相当に見せている場合に、この言葉が表記される。
 擬似フルカラーを実現する手法にはいくつか種類があるが、

  1. 複数のピクセルを組み合わせたディザによって中間色を表現する
  2. 1ピクセルを2色に素早く切り替えて中間色を表現する

――の2種類が一般的なものだ。

 ユーザーにとって問題なのは、低価格モデルに集中している擬似フルカラーパネル採用機を選択しても大丈夫か? ということだろう。結論から言えば、擬似フルカラーでも、見た目にはフルカラーとの違いはほとんどわからない。
 ただ、滑らかなグラデーションを表示した場合に、(1)方式の場合では写真Bのように階調に粗が出てしまったり、(2)の方式のパネルでは、画面の一部にチラツキを感じたりすることがあるのは知っておこう。以上のことから、色を厳密に扱うグラフィック用途には残念ながら不向きである。なお、フルカラーをうたう製品の中にも、実際は擬似表示の場合があるので、心配ならショップの店員に確認しよう。

素朴な疑問
液晶モニタ Q&A

[Q1] 液晶パネルの寿命はどのくらいが目安ですか?

[A1] 液晶部分の寿命は、およそ3万時間といわれているので、ほとんどCRTモニタに遜色ないレベルまで来ていると考えて良いだろう。一方、パネルを照らすバックライトの寿命は、通常2〜3万時間、長寿命タイプで5万時間ほどとなっている。これは明るさが半分になるまでの保証時間とされているので、液晶部分の寿命には影響を与えないレベルになってきていると言える。

[Q2] 視野角の基準は?

[A2] 各メーカーが仕様として記述している視野角の数値は、メーカーの通例としてコントラストが10:1以下に低下する角度と規定していることが多い。ちなみに、この状態では、コントラストの浅い部分がツブレたようになる。つまり、視野角160度と言っても、すべての製品でこの角度の実用性が保証される訳ではない。なお、パネルによって色の反転、暗転の度合いは異なる。

[Q3] 液晶モニタの価格はこれから上がる? 下がる?

[A3] メーカーサイドでは、2002年末までは現状維持、もしくは多少上昇するとの見方が強い。パネル単価が値下がりし始める時期については諸説あるが、第5世代生産ラインが本格始動すると言われる2003年の早い時期に、ある程度値下がりするとの見方が濃厚だ。今購入したからと言って、即座に大幅な値下がりを起こすことは考えにくい。

[Q4] 液晶につきもののドット抜けが心配なんですが……。

[A4] 一口にドット抜けと言っても、白抜け黒抜けの2つの状態があり目立ちやすさも違う。白抜けといっても完全に白になることはなく、RGBどれかの色がONのままとなるので極端には目立ちにくい。画素のサイズも1ピクセルの3分の1程度だ。黒抜けの場合は、なお目立たない。
 液晶はその性質上、ある割合で欠陥画素の発生は避けられない。しかし、大手のメーカーでは、部品納入時にガイドラインを設けて一定以上の欠陥のある液晶パネルは使用しないようにしているし、また、組み立て時にも、目立つ欠陥画素を持つ製品は取り除かれている。ただし、特別ルートで流通する「B級品」と呼ばれる廉価なモニタだけは例外だ。なお、ケースバイケースではあるが、余りに目立つ場所にドット抜けがある場合は、メーカーに相談してみるのもいいだろう。



技術コラム
現在主流のパネル技術

TN方式
図1 TN方式は、電圧OFF時には液晶分子がねじれて光が屈折、透過する(ノーマリーホワイト)。ONにすると斜めに立ち上がって光を遮断する。斜めに立ち上がるため、見る角度によって画の色合いが異なってしまうのが最大の欠点である。
IPS方式
図2 IPS方式は下側のガラス面のみに電極を持ち、液晶分子が水平に90度、スイッチのように回転する。電圧OFF時に黒を表示するため(ノーマリーブラック)、液晶部分が動作不良を起こしても、黒点になる。従って、ドット抜けが生じても目立ちにくい。
VA方式
図3 電圧OFF時に液晶分子が垂直に立ち上がるVA方式。この状態では液晶分子が光を乱さず、ストレートに偏向板に届くため、遮断時に光が漏れにくい(コントラスト比が高い)という特徴を持つ。電圧OFF時は黒を表示する。
現在主流となっている3種類の液晶方式の動作構造
液晶モニタを光が透過する基本原理
図4 図はTN方式を例にとったもので、左が光透過時、右が光遮断時を示している。液晶を挟み込んだ上下の「偏向板」の偏向方向が異なることがポイントである。光透過時には、上側で透過方向を一定に矯正された光が、液晶分子によって90度屈折させられ、下側の偏向板を通り抜ける。遮断時(TN方式の場合は電圧OFF時)にはこの屈折が起こらないため、光は下側の偏向板を通り抜けられない。他の方式の液晶であっても、偏向方向が異なる2枚の偏向板を用いて光を遮断・透過するという動作原理は共通である。
最もメジャーな方式は
コストで有利なTN方式

TN方式
図1 TN方式は、電圧OFF時には液晶分子がねじれて光が屈折、透過する(ノーマリーホワイト)。ONにすると斜めに立ち上がって光を遮断する。斜めに立ち上がるため、見る角度によって画の色合いが異なってしまうのが最大の欠点である。
 一口に液晶モニタと言っても、その方式は様々な種類がある。ここでは、現在の主流となっているTNIPSVAの3つの方式について、基本構造とそのメリット・デメリットを易しく解説する。

 現在もっとも採用実績が多いのが、液晶分子の並びがねじれている様から「Twisted Nematic」と呼ばれているTN方式だ(図1)。歴史が長いためコストメリットに優れ、ノートPCの液晶や、低価格な液晶モニタのほとんどは、この方式のパネルである。液晶部分は図のように(上下で角度が異なる)2枚の偏光板に挟まれ、電圧OFF時のねじれている状態では、液晶を通過する光の偏光方向が変わり透過状態となる仕組みだ(図4)。電圧ONで液晶分子にねじれがなくなると、2枚の偏光板の偏光方向(角度)の違いから非透過状態となって、黒画面になる。

 ただし、図1の右図のように液晶分子が垂直に立たないため、斜めから見た際の偏光角に違いが出る(=視野角が狭い)。これを視野角依存性と呼ぶ。視野角依存性が高いのがTN方式の最大の欠点だが、これを解消するため「高視野角化フィルタ」という部材が2000年頃から実用化され始めた。
 このフィルタをパネル前面に挿入するだけで、従来のTN方式パネルを容易に高視野角化できるようになったのだ(ただし、光が拡散するため輝度は多少低下する)。当初は割高だったフィルタのコストもこなれてきたため、価格面も含めたトータルの競争力では、TN方式が今なおIPS、VA方式を上回る市場を獲得している。



高視野角を実現する
IPSとVA方式

TPS方式
図2 IPS方式は下側のガラス面のみに電極を持ち、液晶分子が水平に90度、スイッチのように回転する。電圧OFF時に黒を表示する(ノーマリーブラック)ため、液晶部分が動作不良を起こしても、黒点になる。従って、ドット抜けが生じても目立ちにくい。
 一方、IPS方式は、電極が横方向(TNでは液晶を挟むように前後のガラス面、図1参照)にあり、電圧を与えると液晶分子が水平に90度、スイッチのように一斉に回転することから、「In-Plane Switching」を略してこう呼ばれている(図2)。先述したように、TN方式に視野角依存性が生じる原因は、液晶分子が斜めに立ち上がることによる。IPS方式では、液晶が横方向に一斉に回転して偏光を乱し、光が透過するため、構造的に視野角依存性が生じにくい特性を持つ。反面、透過光量や応答速度の面でややTN方式に劣るが、IPS方式の改良を進める日立によって、この欠点を克服する方式も開発されている。これが「Super-IPS方式」である。



VA方式
図3 電圧OFF時に液晶分子が垂直に立ち上がるVA方式。この状態では液晶分子が光を乱さず、ストレートに偏向板に届くため、遮断時に光が漏れにくい(コントラスト比が高い)という特徴を持つ。電圧OFF時は黒を表示する。
 VA方式は「Vertically Aligned」方式の略で、液晶が光遮断時に偏向板に対して垂直に立っているのが特徴だ(図3)。液晶分子が垂直に立つことで、光遮断時には影響をまったく受けずに、光がストレートに透過し、偏向板の働きで完全に遮断される。これにより、高コントラストを実現できる。同時に、視野角依存性が少なく、液晶分子の性質から応答速度を速めやすいなどの特徴がある。
 この方式の問題点としては、半透過状態ではTN方式と同様に見る角度によって色合いが変化することが挙げられる。これを解消する技術が、視野角依存性を打ち消し合うよう、互いにそっぽを向く(花びらのような)格好に液晶分子を配置する「Multi domain VA方式」、いわゆる「MVA方式」である。



表面処理の工夫による
コントラストの向上策も

 以上は基本的な液晶の動作原理だが、このほかにも、各メーカーが表面処理や素材の工夫などの技術によってしのぎを削っている。例えば、シャープ製品の一部に採用されている「低反射ブラックTFT」は、その代表例だ。表面処理を工夫するなどして、位相が1/2ズレた波長の光を反射させ、互いに打ち消し合わせる。これにより、従来のアンチグレアコート方式では約5%だった反射率を、約1.5%(いずれも同社比)にまで低減させ、外光の反射によるコントラストの低下を極限にまで抑えることに成功している。

(伊藤 哲)



液晶モニタならではの
画質調整の勘所

アナログ接続はまず
フェーズとクロックを調整

 液晶モニタを接続する際には、最初に「フェーズ」「クロック」を調整しなければならない。これが、CRTとは大きく違う点だ。フェーズがズレていると画面にチラつきやにじみが生じ、クロックのズレは画面に縦縞となって現れる。

 たいていのモニタは、これらをワンタッチで自動調整する「AUTOボタン」を設けており、煩わしい手動調節をしなくても済むよう配慮されている。ただ、自動調整機能があまり賢くない機種では、単にAUTOボタンを押しただけでは、ドットのにじみが解消されないこともある。

 その場合には、製品に付属している画質調整用のカラーパターンを画面に表示させ、改めてAUTOボタンで自動調整させれば、ほとんどの場合うまくいく。自動調整機能に、調整基準を教えてやるわけだ。もし製品に付属していない場合は、いくつかのモニタメーカーが自社のWebサイトで配布しているカラーパターンを入手しておこう。ここでは一例として、イーヤマ販売のWebサイト(http://www.jes-i.co.jp/iiyama_s/test.bmp)を挙げておく。なお、デジタル接続なら、この調整は必要ない。

CRTに慣れた人ほど
画質調整には注意!
カラーパターン
写真1 左がコントラストがズレたもので、右(写真2)が目標の状態だ。グレースケール左側の黒ツブレを起こした部分までしっかりと階調が出るよう調整しよう。
カラーパターン
写真2 ちなみに、バックライトの輝度を変更するタイプのパネルでは、輝度を下げてもコントラストはツブレにくいが、透過率を調整するタイプだと、濃い方の階調から黒がツブレてしまう場合が多い。パラメータの意味が製品間で統一されていないため、CRTに比べて調整は難しい。まずは自動調整を試してみて、それでも気になるようならパラメータを変更する、というのが液晶モニタの正しい画質調整法だ。
カラーパターンを使えばコントラストのズレも一目瞭然

 次に、自動調整による明るさや画面のメリハリ(コントラスト)が不十分なら、手動でこれらを調整する。ただ、機種によっては自動調整機能で階調表現も含めて最適化される場合があるので、明確におかしい場合を除いて、無闇なパラメータ変更は避けるべきだ。特に「R」「G」「B」の比率を変更すると、パネルの発色に偏りが出てしまい、階調表現が著しく低下することがあるので要注意だ。

 コントラストの調整は見慣れた画像を使ってもいいが、階調の表現状態を客観的に把握するには、カラーパターンを使うのが一般的だ(写真1、2)。手動で調節する際には、特に次の点に注意したい。CRTモニタでは、これまで、コントラストを下げると色味が浅くなり、ブライトネスを下げると輝度が低下するといったように、各社の製品におけるパラメータの意味が統一されていた。しかし、液晶モニタでは、機種によってその内容が異なることがある。
 まず、輝度の調整だが、バックライト自身の輝度を調整するタイプと、液晶パネルの透過率をコントロールするタイプの両方の製品がある。さらに、ブライトネスで透過率を調整するものの中には、「バックライト」という項目を別途設け、こちらでバックライトの輝度を調節できることもある。

 このように、意図したとおりにパラメータが反映されないことがあるので、液晶モニタの色調整はプロでも難しい。厳密な色再現性を望むなら、素直にsRGB対応機を購入するのが手っ取り早い。

液晶モニタの色温度調整は
目安程度に考えよう

 以上は基本的な液晶の動作原理だが、このほかにも、各メーカーが表面処理や素材の工夫などの技術によってしのぎを削っている。例えば、シャープ製品の一部に採用されている「低反射ブラックTFT」は、その代表例だ。表面処理を工夫するなどして、位相が1/2ズレた波長の光を反射させ、互いに打ち消し合わせる。これにより、従来のアンチグレアコート方式では約5%だった反射率を、約1.5%(いずれも同社比)にまで低減させ、外光の反射によるコントラストの低下を極限にまで抑えることに成功している。

コラム5
色温度の調整は厳密でない機種が多い

OSD画面
写真C なかには色温度設定の項目自体がないものも存在する。気になるなら購入前に店頭で確認しておこう。

 色温度の設定は曖昧な場合が多い。色温度の項目は目安程度に考えておくのが無難だ。ただ、sRGB対応機については少々事情が違う。OSDの色温度表示が不明確な機種であっても、sRGBモード時の色温度は、必ず6500Kになるように決められているためだ。

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