![]() |
| |
失敗写真を避けるには、写真の腕を磨いてひたすらシャッターを切りまくるのが一番なのだが、現実には趣味や思い出作りのためにそこまで切磋琢磨できる人はそういないだろう。であるなら、デジタル(カメラ)で失敗した写真はデジタル(ソフトウェア)で取り返しす、というのはいかがだろうか。今は失敗した写真も、場合によっては画像編集ソフトによって簡単に直せるのだ。奇しくもこの秋には“フォトレタッチ”を得意とする画像処理ソフトの最新版が相次いで登場した。アドビ システムズの「Adobe Photoshop Elements 5.0」と、コーレルの「Corel Paint Shop Pro Photo XI」である。 ここではこの2つの最新ソフトを使って、さまざまな失敗写真をどんな手順で補正できるのか、具体的な例を交えつつ比較・検証していこう。と、その前に、両者の特徴や機能を簡単におさらいしておく。
プロユースの画像処理エンジンを手軽な価格で使える!
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アドビ システムズの入門者向け画像処理ソフト「Adobe Photoshop Elements 5.0」のパッケージ。パッケージ版の直販価格は1万4490円だが、ダウンロード版なら9600円(12月1日から1万4490円に価格改定される予定)。さらに他社の画像処理ソフトを使っていれば乗換版(6600円、12月1日以降は1万290円)を購入できるので、さらに手頃に入手できる。 |
![]() |
イラストやウェブページで使用するグラフィックスの作成や写真の加工、さらにはそれら画像ファイルの管理まで、画像・写真に関するすべての機能を集約した統合型デジタルイメージングソフト。画像処理エンジンには同社がプロ向けに販売している“Adobe Photoshop CS”シリーズと同等の技術を採用しており、ダウンロード版なら1万円を切る低価格ながら強力かつ柔軟な画像処理能力を有する。
デジタルイメージの編集を行なうユーザーインターフェースは、露出や色合いの問題をワンアクションで素早く補正できる“クイック補正”モード、レイヤー(階層化構造)の使用が可能で、ヒストグラムなどを確認しながら細かい処理を実行できる“スタンダード編集”モードの2モードを用意しており、ユーザーのスキルや同種レタッチソフトへの慣れ、画像処理したい内容などに応じて好みのモードを選択可能だ。
なお、今回の記事で取り上げるような“写真の補正”には、標準状態でウィンドウ右側に各種補正ツールアイコンとして集中しており、必要な機能に即座にアクセスできるという点で“クイック編集”モードのほうが断然お勧めである。このほか、Adobe Photoshop Elements 5.0の詳しい新機能についてはこちらのニュース記事を参照いただきたい。
また、30日間フル機能が使える体験版が同社ウェブサイトよりダウンロードできる(要アドビID登録、612MB)。
| ||||||||||||
![]() |
「Corel Paint Shop Pro Photo XI」は、価格と機能のバランス(コストパフォーマンスの高さ)で定評のある“Paint Shop Pro”シリーズの最新版として発売された統合型デジタルイメージングソフト。
ユーザーインターフェースは、画像の編集に必要な各種ツールバーやパレットをメインウィンドウに組み合わせたスタイルで、機能面でも拡大縮小してもドットが粗くならない“ベクターレイヤー”と、特殊効果をかけられる“ラスターレイヤー”をサポートするなど、充実した構成を従来版から踏襲する。
Corel Paint Shop Pro Photo XIのメイン画面。ユーザーインターフェースは、メインウィンドウの周囲に各種パレットを配置するという一般的なスタイル。パレットの位置や表示・非表示はユーザーの好みに応じて変更できる。 |
その上でXIでは、パソコンに蓄積した画像・写真データをファイル名やタイムスタンプ、フォルダーなどで検索し、その結果をサムネイル(縮小画面)で一覧表示できるイメージ管理ツール“オーガナイザ”の導入、デジタルイメージをタイトルやメタタグ、Exif情報などの各種属性で素早くアクセスするための“画像情報”のサポートなど、デジタルカメラで撮影した写真の管理・加工を快適に行なうための大幅な機能強化を図っている。
Paint Shop Pro Photo XIが搭載する各機能へのショートカットと、これらを統合した簡易ヘルプの役割を果たす“ラーニングセンター”。このように、各機能は目的別に整理されている。 | |||||
初心者向けの機能としては、ユーザーがとりたいアクションが目的別に整理されたガイドパレット“ラーニングセンター”の存在が大きい。ユーザーは、自分が行ないたい補正をリストから選ぶだけで、そのアクションに関連する機能が順番に呼び出される。写真の補正や画像処理は初めてという人でも、手順を覚えながら操作できる頼もしい機能だ。これ以外のXIの新機能はニュース記事を併せて参照いただきたい。
また、30日間フル機能が使える体験版が同社ウェブサイトよりダウンロードできる(要メールアドレス&氏名登録、135MB)。
次ページからは、ケース別のレタッチ、デジタル補正の手順を各ソフトごとに紹介する。
| ||||||||||||
代表的な失敗写真のひとつが、撮ってみたら被写体となる人物の顔やモノが暗すぎた、あるいは逆に被写体となる人物やモノが白く“飛んで”しまった。あるいは全体的に暗い、または明るく白っぽくなってしまった――といった露出のミスだろう。最近のデジタルカメラに搭載されているAE(自動露出制御)は大変賢くなっているものの、撮影する状況によってはAEが最適な露出を決定できないこともある。完全に黒く潰れていたり逆に白く飛んでいて陰影情報が失われているようではさすがにお手上げだが、このような失敗写真の多くはシャドウやハイライト、コントラストの調整によって十分に印刷や鑑賞に耐えるレベルへと修正が可能である。
【失敗例1】 浜辺で写した写真。写真手前側の浜辺が暗すぎて、人物などのディテールが分からなくなっている。 |
![]() |
Photoshop Elements 5.0を使った場合。クイック補正モードで修正したい画像ファイルを読み込むとワークスペース中央にその写真が表示されるので、暗すぎる部分を明るくしたければウィンドウ右の項目から“シャドウを明るく”、逆に明るすぎる部分を暗くしたければ“ハイライトを暗く”という項目で調整する。明暗の差が激し過ぎる、あるいは逆に明暗に差がなくて全体にメリハリがない写真になってしまった、という場合には“中間調のコントラスト”を変更すればよい。これらのパラメーターは読み込んだ画像にリアルタイムで反映されるうえ、加工前のオリジナル映像を並べて表示できるので、加工前と加工後の比較も簡単に行なえる。このように操作はわかりやすく直感的で、難しそうに思われる高度な画像処理も快適に実行できるようになっている。
【修正例】 ウィンドウ右にある“ライティング”からシャドウを引き上げているところ。ウィンドウ左の画像がオリジナルで、右はパラメータ変更後だ。たったこれだけの操作で、暗すぎてよくわからない部分をしっかりと確認できるようになった。 |
![]() |
次にPaint Shop Pro Photo XIの場合。明るさの補正処理は“スマート補正”機能から実行するのが簡単だ。スマート補正の呼び出しはラーニングセンターのトップメニューから“調整する”→“スマート修正”と、2回クリックすれば呼び出せる。
スマート補正機能の呼び出しは“ラーニングセンター”から行なうと簡単だ。 | |||
スマート修正機能を使うと、まずPaint Shop Pro Photo XI自身が輝度やカラーの調整を自動で行ない、続けてそれらのパラメータをユーザー自身で微調整できる。つまり、全自動ではなくセミオートの補正機能だ。
スマート修正機能のウィンドウでは、変更前・変更後のプレビューに加え、明るさの調整や彩度・フォーカスといった設定項目が表示される。暗すぎる部分を明るくしたい場合には“シャドウ”をプラスに、明るすぎる部分を暗くしたい場合は“ハイライト”をマイナスに指定する。この設定変更はリアルタイムに反映され、その作業は加工前のオリジナル画像との比較しつつ行なえる。また、ウィンドウの“詳細”オプションをオンにした場合にはヒストグラム(輝度分布)の表示なども可能だ。
ツールのウィンドウ内におけるプレビュー画面の大きさがツールウィンドウの大きさに依存しており、ユーザーが自由にその大きさを変更できないのはやや扱いにくく感じたものの、細かい調整までこの“スマート補正”ひとつで対応できるため、初心者にも使いやすくお勧めだ。
撮影先では被写体となる人物や建物などを大きく写したつもりでいたのに、家に戻ってから確認してみたら思いのほか小さく写っていてガッカリ――ということも、よくある失敗だ。要するにこれは構図のミスである。画角からはみ出してしまった被写体を回復するのは無理な話だが、逆にアップで写したつもりがちょこんと小さくしか写っていなかった、という場合には写真の一部を切り出す“トリミング”で、もっと迫力ある写真に仕上げられる。
![]() |
Photoshop Elements 5.0のクイック補正モードでは、ツールボックスに“トリミングツール”が搭載されている。トリミングツールを選択して写真から切り抜きたい部分を指定すると、指定範囲内のみが明るく、外側は暗転して表示される。指定範囲はマウス操作での調整・移動が可能で、納得できる範囲を指定できたらウィンドウ下にある丸いボタンを押せばいい。するとその指定範囲が確定され、トリミング処理が行われる。
なお、初期状態では指定範囲の縦横比が自由な形で選択できるが、ツールオプションを利用すると指定範囲の縦横比を写真の比率(3:2)に指定できるほか、トリミングするサイズを「119×89mm」「127×89mm」などプリント時のサイズで指定することも可能だ。修正した写真をフォトプリンターで印刷する場合には、上下左右に余白が出ないように、このツールオプションで印刷用紙に合わせてトリミングするといいだろう。
![]() |
Paint Shop Pro Photo XIでも同様にツールバーにある“トリミングツール”を用いる。Paint Shop Pro Photo XIの場合、トリミングツールを選択するとトリミングしたい写真の中央に指定範囲が自動的に表示されるので、この範囲をマウス操作によって調整するという手順になる。
|
|
範囲を指定できたら、写真の下に表示される機能アイコンから“適用”をクリックすると指定範囲が確定し、切り抜き処理が実行される。Photoshopと同様に、指定範囲における縦横比や印刷時の写真サイズに合わせる指定も、オプションメニューから行なえる。
写真家や撮影の腕がある人の作品を見ると、わざとカメラを傾けて面白い効果を作り出しているものもある。しかし、撮影時にうっかりカメラを水平に構えていなかったという写真は、後から大画面のディスプレーなどで見ると不安定さを感じたり、見る人に“妙な印象”を抱かせるだけである。そんな微妙に傾いてしまった写真は、写真データをそのものを回転補正することで容易に修正できる。
![]() |
Photoshop Elements 5.0の場合、傾きの補正は“クイック補正”モードでは行なえないため、“スタンダード編集”モードを用いることになる。スタンダード編集モードに変更すると、ツールボックスに表示されるツールの量が大幅に増加するが、その中にある“角度補正ツール”を選択しよう。
|
| ||||
【修正例】 角度補正ツール。補正の手順は水平にしたい部分に合わせてマウスで2点を結ぶ(ラインを引く)だけ。すると、そのラインに合わせて即座に回転処理が行なわれる。直感的で分かりやすい。 | |||||
角度補正ツールを選ぶとマウスカーソルの形状が変わって、2つのポイントを結ぶ水平線を指定するモードに切り替わる。これは、地平線や正面から見た建物のひさしなど、本来なら水平であるべき直線に合わせてマウスで2点を指定すると、その2点間を結ぶ直線が水平となるように、写真を自動的に回転処理するというものだ。
なお、初期状態では元の画像を切り取ることなく回転させるため、写真の周囲に余白が生じる。この余白は鑑賞や印刷に不要なので、前項で書いた“トリミングツール”で切り取っておこう。また、オプション指定で“背景領域を削除”を指定しておけば、傾きを修正する際の余白部分のトリミング処理まで自動実行される。傾き具合によっては補正後のトリミングによって、被写体の一部が切れてしまう可能性もあるが、多くの写真を管理、編集処理を手早く実行できるので、覚えておくと便利だ。
![]() |
Paint Shop Pro Photo XIでの傾き補正は、ツールバーにある“傾き補正ツール”で行なう。傾き補正ツールを実行すると、最初に画像の中央に水平のラインが出現する。このラインをマウスでドラッグして角度をつけてながら写真内の地平線や建物の線など“水平にしたい部分”に合わせる。
|
| ||||
【修正例】 傾き補正ツール。こちらは水平にしたい部分に合わせてラインをマウスで調整したのちに適用ボタンを押すことで、そのパラメータが反映されるようになっている。 | |||||
あとは“適用”アイコンをクリックすれば、傾けたラインを水平に調整するように写真の傾きを補正してくれる。なお、Photoshop Elementsでは別途オプション指定が必要なトリミング処理だが、Paint Shop Pro Photo XIでは標準で回転と同時に余白がトリミングされるようになっている。前述のように、傾き具合によっては写真の端にある情報が思わぬ形で途切れてしまう場合もあるので注意しよう(トリミングせず回転だけする設定にも変更可能)。
撮影した写真を家でよく見てみると、記憶の中のシーンよりも色が青く写っていた。あるいは白いはずの壁紙がなぜか赤みがかって見えるといったことがある。これはホワイトバランスの設定ミスだ。背景に色がかぶっている程度ならまだしも、人物の表情が青みがかっていたり赤すぎると、顔色が悪いようにも見えるので、なんとか自然な顔色に修正したいところ。写真の色調を厳密に補正するには予備知識と細かい色補正の技術が必要なのだが、今どきの画像処理ソフトであれば初心者でもある程度のレベルまでは簡単に修正できる機能が用意されている。
【失敗例4】 日本を感じさせる秋の一コマ――のはずが、ホワイトバランスの設定ミスから全体的に青みがかって寒々しい感じで、肝心の紅葉がいまいち映えない状態。 |
![]() |
Photoshop Elements 5.0のクイック補正モードでは、ウィンドウ右の“カラー”エリアに“色温度”という項目がある。このパラメータを調整することでホワイトバランスの設定ミスを修正可能だ。
具体的には、全体に赤みがかっている写真を修正する場合はスライダースイッチを左(寒色系)に、逆に青みがかった写真であれば右(暖色系)に移動させるだけ。スライダーを移動させると結果はリアルタイムに反映されるので、適当なところを見つけ出そう。
ちなみに、屋内の蛍光灯の下で撮影すると全体的に緑がかってしまう(色かぶりする)。そんな場合には、カラーの補正機能を集めたエリアの“色合い”で緑を抑えることにより調整できる。
![]() |
Paint Shop Pro Photo XIでホワイトバランスを修正するには、“調整”メニューから“カラーバランス”を選択。するとプレビュー表示とパラメータ調整のためのスライダースイッチを組み合わせたウィンドウが表示されるので、スイッチを左右に移動させてカラーバランスの調整を行なう。
赤みが強い写真はスイッチを左に、逆に全体的に青みがかっている場合は右に移動させればOKだ。こちらもプレビューはリアルタイムで行なわれ、直感的に操作できるようになっている。
|
|
ウィンドウ内の項目“詳細”をチェックしていると、さらに蛍光灯の緑色かぶりなどにも対応できるようになる。なお、このカラーバランス機能は、今回紹介している中では唯一、ラーニングセンターに登録されていない。機能が充実しているだけに、そこがやや残念である。
人物をアップで撮影する際にフラッシュを使っていると、まれに目が赤く写ってしまうことがある。厳密にはいわゆる黒目の中心にある“瞳孔”が赤くなってしまう現象で、一般には“赤目”と呼ばれる。この赤目は、瞳孔を黒く塗りつぶすことにより補正できるが、単色の黒で塗っただけでは不自然になる。瞳孔から赤の要素を除いて黒(グレー)に画像の一部を塗りつぶすのは難しそうだと思われるかもしれないが、画像処理ソフトを用いればほぼ全自動で行なえるようになっている。
![]() |
【失敗例5】 フラッシュ撮影ではつきものの赤目。瞳孔は黒く見えるものなので、目の中心部分が赤く写るとかなり違和感を覚える。 |
![]() |
Photoshop Elements 5.0のクイック補正モードでは、ウィンドウ右の上部にそのものズバリ“赤目修正”という項目がある。ここで“自動”ボタンを押すと、Photoshopが写真から人の顔を検出し、目の赤くなっている部分を全自動で直してくれる。マウス操作もいらず、ボタンのワンクリックだけで修正できる。
もっとも、写真(構図)によっては直したい人物の顔を正しく検出できないことがある。そういった場合には手動で指定する必要がある。といっても面倒なことはない。左上のツールパレットから赤目修正アイコンを選ぶとマウスカーソルが赤目補正モードに切り替わっているので、目の周囲を囲むだけ。あとは範囲内から赤目部分を自動的に検出、補正してくれる。
|
| ||||
赤目修正ツール。自動で赤目を処理できない場合にはこのツールを用いる。使い方は、赤目になっている目の部分を範囲指定するだけ。あとは自動的に赤目部分を検出して補正する。 | |||||
![]() |
Paint Shop Pro Photo XIも同様で、ツールバーに“赤目ツール”が用意されている。赤目の修正はこのツールを選択し、修正したい目の中心を1クリックするだけでOKだ。
なお、Paint Shop Pro Photo XIでは赤目を黒っぽく補正するだけでなく、外国人やカラーコンタクトを装着したような鮮やかな目の色に変える、つまり“虹彩”と呼ばれる部分の色を変更したいというようなケースでも、メニューの詳細機能で対応できるようになっている。
|
|
デジタルカメラの撮影でありがちな失敗写真は、最新の画像処理ソフトを用いればこのようにわずかなステップで初心者でも簡単に修正できるようになっている。ところで、今回紹介したPhotoshop Elements 5.0、Corel Paint Shop Pro Photo XIは、ともに高度な画像編集機能を搭載しているものの、操作手順やメニューの項目などには細かい違いがある。
両者のどちらを選択するかは、機能面の違いで選ぶというよりも、ユーザーインターフェースの好みが大きいだろう。前述のように両者ともフル機能が使える体験版を無償配布しているので、ぜひご自身で試してみて使いやすいものを探してみてほしい。
デジタルカメラ+画像処理ソフトの組み合わせで、デジタルカメラのある生活をさらに楽しんでいただきたい。
|