2001年6月27日
コンテンツ業界で最も成功したといわれる「バンダイチャンネル」。待ち受け画像という新しいケータイの楽しみ方を創造したサイト『キャラっぱ!』を中心に開発に携わり、現在バンダイネットワークス株式会社コンテンツ開発部モバイル企画チームスーパーバイザーを務められる黒木伸和氏にお話をうかがいました。
[編集部] 立ち上げの時期はいつですか?
[黒木氏] 1999年2月にiモードのサービスがスタートし、6月に「いつでもキャラっぱ」のサービスを4つのキャラクターで開始しました。当社が『キャラっぱ!』を始めた頃は、iモードにキャラクターを使ったサービスがありませんでした。当初は文字情報のニュース系のものばかりでしたので、画像という目新しさが脚光を浴びたのだと思います。サービス開始当初、1カ月でおよそ2万人という予想以上の加入者数を獲得し、同年11月で50万人、2000年3月には100万人を突破。現在「バンダイチャンネル」のiモードだけで240万人、EZweb、J-スカイを含めると430万人という数字になっています。
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黒木伸和氏 1996年バンダイ入社。「テクニカルデザイニング」という研究部門に3年勤務した後、iモードがスタートした1999年よりモバイルコンテンツの企画開発を担当する。以降、iモードの「キャラっぱ!」を含め、J-スカイ、EZweb、PメールDXにおいて多数のコンテンツ開発に携わり、2000年10月の分社化以降も引き続きモバイルコンテンツの企画開発業務を担当している。 |
[編集部] 会員の傾向は?
[黒木氏] 当初、主なターゲットは女性でしたが、「ハローキティ」等の定番キャラクター支持者の男女比率は同じくらいですね。たいていはキャラクターの性格により男女比は違うのですが。
[編集部] 最初はiモードサービスをお考えではなかったとか?
[黒木氏] 当初は別件でドコモさんにご相談に行こうとした際に、間違って担当部門が異なるゲートウェイビジネス部さんにご伺ってしまい、それが縁で逆に「iモード」をご紹介していただく形になりました。そして「ドコでも遊ベガス」という未来を予想するクイズからエンターテイメントサービスをスタートさせていただきました。その後、『キャラっぱ!』をスタートしたのですが、その頃、バンダイにネットワークサービスの実績があまりなく、上司も何が成功するのか見えていない状態でしたので、若い我々のプランが比較的承認されやすい環境にありました。バンダイには「エンターテイメントであればいろんな分野に積極的にチャレンジしてかまわない」という以前からの方針がありましたので、とにかくやってみようという感じでしたね。
[編集部] 収支はどのあたりで落ち着きましたか?
[黒木氏] 当初は、何か新しい事業にチャレンジしようという新事業を企画する部署「ニュープロパティ開発部」という名称で、採算はともかく、新しいことにチャレンジしようという感じでしたが、2000年4月に「ネットワーク事業部」という形で事業部門になってからは、何とかやっていける状態になっているのでは、と思っていました。一部員の私感としてはもう少しさかのぼって1999年末くらいには「ビジネスとしてやっていけるのでは?」と思っていました。
[編集部] 『キャラっぱ!』がここまで成功した秘訣とは?
[黒木氏] エンターテイメントでサービスをしてきた会社ですので、最初のコンセプトは文字しかない世界に可愛いキャラクターを提供したい、ユーザーさんにわかりやすく絵で何かをご提供したい、というものでした。スタート時は何が成功するのか全くわかりませんでした。
プロモーションはバンダイとしてはとくにやらなかったと思いますが、ドコモさんの広告展開で『キャラっぱ!』を紹介していただいたことが良い宣伝になったと思います。あと、カラー液晶端末が初めて出たときに「わかりやすい」ということで、ハローキティやゴーゴーコニーちゃんを端末のモックアップ画面に採用していただきました。
携帯電話の性質上、いつも持っていて欲しい情報がすぐに手に入るもの、ということで自分だけのオリジナルなものとして「カスタマイズしたい」欲求をかなえたからではないかと思います。世間に与えるインパクト、それがたとえ「友達」という小さい世界でも、「世間にインパクトを与えられる」「知らない人に教えてあげられる」という目新しさがユーザーさんに受け入れられたのでしょう。おそらく、そういった訳で、iモードユーザーと同じ割合で『キャラっぱ!』会員数が分布していたのでしょうね。
[編集部] キャラクターの選定基準はあるのでしょうか?
[黒木氏] バンダイの本社で市場調査やグループインタビューなどをした上で現状分析をし、新しいキャラクターや旬のキャラクター、今後密かなブームを生みそうなキャラクターなどの開発をしていきたいと思います。
キャラクターというと、高校生などの若い女性のもののように思われますが、大人の男性にとってもウルトラマンやガンダムなどは息の長いキャラクターであり、子どものみならず、子ども時代を懐かしむ大人まで愛されているものもあります。キャラクターには奥行きがあり、幅広い年齢層に受け入れられていますね。
また、キャラクターに順位付けはしていないんです。たとえ会員数が少なくても、ユーザーさんの思い入れを大切にしたいと思っています。
[編集部] 苦労された点は?
[黒木氏] 少ない人数で短い期間で立ち上げなければならなかったことですね。企画が1999年の4月にあがり、各ライセンサーさんにプレゼンし、イラスト制作やサーバー管理などハード・ソフトの両面ですべてが同時進行でした。あと、iモード自体が何たるかを説明しても、その当時はなかなか理解してもらえず交渉に苦労しました。しかし、バンダイの過去の実績から、新しい分野への挑戦にも、「バンダイさんならキャラクターを大切に扱ってくれるであろう」という信頼感を持っていただいていましたから、結局、ライセンサーさんは、「iモードはよくわからないけれどやってみましょう」というバンダイのチャレンジ精神をご理解していただけました。
現在は、携帯電話が異常なスピードで変化しており、「ないところ」で想定して「モノ」を作っています。モノクロだったのに、今やカラーが当たり前で、着メロも16和音になり、Javaが搭載され3Dで画像が動く。尋常でないスピードに追いついていくのは大変ですが、やりがいでもありますね。
現在はバンダイネットワークスで40人、モバイルサービスで15人弱のスタッフがいます。ピピン時代からのスタッフもおり、立ち上げ時には開発・サーバ周りに関して、その頃の経験が生かされたと思います。
[編集部] 現在、最も重点を置いているところはどういうところでしょうか?
[黒木氏] ユーザーさんを飽きさせない継続性を追求していくことは大変なことだと実感しています。たとえば、待受け画面に変化を持たせる、アニメ画像やからくり時計風にものを作るなどです。
今後の方針は『キャラっぱ!』をよりカスタマイズしていくことでしょう。J-フォン用に3Dのものもサービスしていますし、待ち受け画面に表示していてさらに楽しいものにしていくつもりです。その他のサービスでも、着メロサービスをもっと充実させること、Javaを使ったミニゲームの更なる開発、メールを使ったコミュ二ケーションサービスを進化させること。欲しい情報がすぐに見られるサービス等を展開していく予定です。バンダイならではの総合性を発揮して、物販的なことも視野にいれていきたいと思っています。
[編集部] ゲームの状況は?
[黒木氏] iアプリは好調と言えると思います。まだ出始めたばかりですので「とりあえずやってみようか?」というユーザーさんが多いのではないでしょうか。通信料がかかりますので、ダウンロードしただけで利用できるものが比較的好評なようです。心がけているのは、電車待ち等のちょっとした時間つぶしになるものや、パーティーゲームのようにみんなで楽しめるものを作ることです。いつでも楽しめるということと、情報の量・質・価格に重きを置いています。
[編集部] 最後に、黒木さんにとって「ケータイ」とは?
[黒木氏] 財布のように忘れたときはどうしようかと思います(笑)。個人的には持っていないと不安になるものになってきていますね。非常にパーソナルなもの、ないと落ち着きませんね(笑)。
毎回新しいコンテンツが楽しみな『キャラっぱ!』。次はいかなる進化を遂げるのか楽しみですね!!
(森山 静/編集部 河中)
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