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第7回 e燃費

Printable Version 2001年9月25日

ユニークなe燃費の舞台裏

携帯電話の機動性を生かしたユニークなアイデアを誇る『e燃費』。そのe燃費のコンテンツ管理を担当する(株)アスキー・オートアスキー編集部・佐藤耕一氏、開発における対外的交渉にあたった同・Web企画室・井澤俊弘氏、e燃費のOEM販売にあたる同・法人事業部小関達哉氏にお話を伺った。


e燃費の道のり

[編集部] 誰のアイデアですか?

佐藤氏

[佐藤氏] オートアスキー編集長の三浦が発案者です。愛車の燃費管理のためにダッシュボードに記録表を入れて毎回つけていたのですが、それでは不便だということで燃費計算用の計算機を作ろうと思いたちました。しかし、それが実現しないうちにブラウジング機能付きの携帯電話が出てきまして、iモード等の通信機能を使えばおもしろいコンテンツになるのではと考え、e燃費が始まりました。

[井澤氏] 最初にしたことは、ビジネスモデルの特許申請です。モノが完成する前にe燃費の仕組みからメニューも含めて、すべての権利関係を押さえました。まったく誰が侵害するかは、わからないですからね。それから開発を始めたという経緯があります。


[編集部] 会員数はどれくらいですか?

[佐藤氏] このe燃費は、OEM版を日石三菱の『ENEOS.com』に提供しているんです。内容はほぼ同じですが、見た目が少し違っていまして、名前も『ENEOSネット燃費』になっています。『ENEOS.com』の会員数も含めると現在10万人以上になります。


[編集部] 10万人の会員数は、スタート時に予想していたのでしょうか?

[佐藤氏] 2000年8月4日にスタートしたのですが、最初は5万人いけばいいかなと思っていました。今は一応クリアして、日石三菱の『エネオスドットコム』の会員数も含めるとおかげさまで倍増しています。


[編集部] 会員の傾向は?

[佐藤氏] 特徴的なのは、e燃費の会員の平均年齢がiモード・J-スカイ利用者より高いことですね。ある一定の年代が多いこともなく、20・30・40代と平均しています。男女比率は男性が8割を占めていますが、家計簿的な面で利用されている40代の女性も多い。家計にシビアな世代にまで受け入れられているということでしょう。


[編集部] 登録車種のばらつきは?

[佐藤氏] 現在総型式登録数が4000型式以上ありますが、統計処理のできる車種は600車種くらいです。600車種といえば、1時間ぐらい甲州街道を観察しても、そこを走るすべての車種をカバーする程度の数字です。会員数も10万人を越えましたし、車種は問題ないと思います。たとえば、レンジローバーのようなちょっと珍しい輸入車や、ジェッタもカバーしています。しかし、デビューが10年前で、かつあまり有名でないものはありませんね。


[編集部] だいたい、燃費等は1〜2カ月もすれば傾向はつかめると思うのですが、ユーザーが離れることはない?

[佐藤氏] 燃費だけではなく、オイル等の交換時期を知らせるなど、愛車に関するすべて情報を管理しています。エンターテイメント性が高く、ガソリンスタンドでの給油の間の暇つぶしとして楽しんでもらっているようです。1回始めると次の入力が待ち遠しいという声をよくいただきます。



小関氏

[小関氏] 私もe燃費の営業担当になるまで、「こんなの1〜2カ月で飽きちゃうんじゃないの?」と思っていました。しかし、タイヤの消耗度のような、車のいたわり具合を見るマイカーマネージャーという機能がサービスに幅を持たせ、なかなか会員が離れにくいのでは? これはいけるのでは? と考え直すようになりました。また、変動のある順位よりも親しみやすい「偏差値」も出ます。
入力が非常に容易で、3分もかかりません。どんなに優秀なコンテンツでも、エンドユーザーが「面倒だ」と思えば2度と使わなくなりますからね。

[佐藤氏] 総走行距離を入力して、ガソリンスタンドの種類を選ぶ。それから給油量・金額を入力し、税込み・税抜きはプルダウン。そして、ガソリンスタンドのサービスの評価を3段階から選ぶ、これだけです。2画面に分けていまして、走行距離とガソリンスタンドの名前までは給油待ちのときにわかりますから、最初の段階で入力。給油が終わってお金を払ってお釣りをもらう間に2画面目の給油量と金額を入れます。給油というシチュエーションを想定し、インターフェイスを入力しやすいように工夫しています。


[編集部] でたらめな数字を入力したり、といったいたずらは?

[佐藤氏] ある数式を当てはめて、非現実的な数字は反映しないようにしています。たとえば自家用車のガソリンタンクで100Lを越えるものはあまりないはずですが、給油量150Lというような入力とか…。ほかにも、データの信頼性を確保する面で、数字にばらつきの出がちな15L以下の入力も省きます。もちろん個人のデータとしては残りますが。


[編集部] たとえば、セルフ式のガソリンスタンドかどうかなどもわかるのでしょうか?

[佐藤氏] 基本的に、入力していただいているデータは、ユーザーに還元できるもののみです。もし、セルフ式かそうでないかという情報をいただいても、それをおもしろく加工してユーザーさんに還元するのは、いまのところ難しいですから、行っていませんね。しかし、セルフ式が多い地域はかならず地域別の価格傾向に現れます。ガソリン価格というのはおもしろくて、たとえば、ある週、滋賀県がガソリン価格ランキングで1位になったんですが、そのときは琵琶湖の湖南地区でとくに乱売競争が激しかったんです。このように、特定の地域でいったんガソリンの値引き競争が始まると、一気に下がるということをユーザーから聞いていたんです。実際に滋賀県はレギュラーが1Lあたり90円を切っていました。ところが、滋賀県でも北部は、「こんなにガソリンが安いとは思えない」という声も寄せられていました。乱売競争はスポット的に発生することが、データからわかりましたね。


[編集部] ユーザーさんの声として特徴的なものは?

[佐藤氏] おもしろいのは、オイル交換の時にも走行距離を入力したいというリクエストをいただいたことです。オイル交換のサイクルは、オイル交換した直前の給油時の走行距離を使って計算しています。というのも、オイル交換は、何百km単位の厳密さが必要ないので、直前の給油時の走行距離を使ってもそれほどブレのないサイクルでアラートが出せます。ところが実際は、オイル交換の時もちゃんと走行距離も入力して、正確に測りたいという方が多いんです。作っているときは「できるだけ簡単に」と思っていたのですが、ユーザーさんとしてはいろんなデータを入力して、愛車のさまざまなメンテナンス情報をしっかり管理したいようです。


[編集部] 愛車に関する情報以外で提供しているものについて教えてください。

[小関氏] ニュースやガソリン価格等の統計情報なども配信しています。できるだけ正確で実用的なデータベースとして、他がやっていそうでやったことがないことです。世界中探しても、まだどこにもありません。我々はこの優位性をついて、統計データとして提供しています。このあたりのことが、オートアスキーのサイトの価値を高めているのです。



[佐藤氏] 毎月特別ランキングを1つと、総合ランキングをwebのほうに載せています。特別ランキングの例として、歴代スカイラインの燃費ランキングを行ったことがあります。e燃費で登録のあるもののなかでスカイラインは一番の人気車種。1車種につき3桁近いユーザーが登録しています。つまり、スカイラインのユーザー100人を集め、その給油データから統計処理をして出した平均値を比較できるのです。
この平均値は、ガソリンの給油量の上下のほか、ユーザー数の少ないものも省き、統計処理したものの中で95%の信頼区間を一定値以上オーバーしているものも除外したうえで、算出しています。

[小関氏] メーカーにしてみれば痛いところを突かれたというところでしょうか? たとえば、同じ車種の同じ型式でも都市部と地方では燃費が全然違います。また個人のテクニックでも相当違いが出てきます。

[佐藤氏] そういう意味も含めて、平均を出すわけです。指標となるような数字から外れているものは載せないようにしてます。




[編集部] データやシステムの管理はどのように運営されているのでしょうか?

[佐藤氏] スタッフは常時3人くらいです。ユーザー自身がコンテンツを作っているようなものですから、このくらいの人数でできるのです。e燃費で用意するものはよりおもしろいサービスと、安定したサーバの管理について。ガソリンの給油記録とはいえ、入力していただいた方にとっては大切な記録ですから、お客様のデータをしっかり管理をするということに重点を置いて運営しています。
e燃費の機能に関しては我々でやっていますが、日石三菱の場合はすべての登録情報は日石三菱側で管理しています。我々の方では日石三菱の会員だけの統計データを出すことはできますが、名前や住所といった個人情報まではわかりません。ネット燃費でもe燃費と同等の、個人を特定できないデータしかもっていません。


[編集部] e燃費の成功の秘訣は何だったと思いますか?



[佐藤氏] 当初、有料化やバナー広告を考えていましたが、最終的に消費者に対しては無料にして、OEMやデータ提供のようなB to Bで収益を上げたことが多くののユーザーに使っていただいている要因ではないかと思います。公式メニューに入ると課金が簡単になりますので、当初は有料化も検討していたのですが、実際に始めてみると、無料のまま他のところから利益を集めて運営していくのがベストではないかと考えました。無料で使っていただく代わりにデータを集めて、統計データとしていろんなところに提供していく、という形がユーザー側にも納得していただいているのかなと思っています。このデータは他に絶対あり得ないプレミアム性のあるデータです。いかにうまく売っていくか、またこういったデータを組み上げるシステムをいかに使ってもらうかがこれからの課題でしょう。




(森山 静/携帯24編集部 河中)


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