【インタビュー】KDDI au営業推進部に聞く、契約数逆転の本音のところ
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2002年05月08日
(社)電気通信事業者協会(TCA)が4月5日に発表した、J-フォンとauグループの契約数逆転を受け、携帯24では、「auとJ-フォン逆転は必然」という辛口のコメントを掲載した。これに対し、ケイディーディーアイ(株)から「本音のところを語りたい」という提案をいただき、今回インタビューを行なった。
インタビュアーは、前回のコメントの主である、小学館の雑誌『DIME』等で活躍するライターの橋本保氏。4月22日、KDDI一番町FSビルにて、KDDI au営業推進部の平野朋之部長、鈴木清隆次長、中居良一課長に、KDDIが考える契約数逆転の背景と今後の戦略について伺った。
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KDDI au営業推進部の平野朋之部長 |
市場の要求との間に、ずれが出てきてしまった
[橋本氏] まず、契約数の順位がJ-フォン(株)と逆転した状況を、どうとらえているか教えてください。
[KDDI] 原因のひとつは、移動機の開発だと思っています。ちょうど2年前、2000年の7月に日本移動通信(株)(以下IDO)と第二電電(株)(以下DDI)をauにブランド統一したのですが、この時、売れ筋になりつつあった“カラーディスプレーで折りたたみ式”モデルを投入するタイミングが遅れたのです。カラー液晶の不足など原因はいくつか挙げられるんですが、結局、2000年末に発売した三洋電機(株)の『C401SA』まで、半年以上ずれ込みました。
その後、我々は、Java、Bluetooth、WAP2.0などに手を染めていきますが、やはり、市場の要求とプロダクトアウトされていくものの間にずれが出てきてしまった。例えば、2001年夏に投入したJava対応機は、ストレート型のみでした。こういうところが、原因だったと思うんです。
また、PRの仕方に問題があったことも否めません。われわれが行なったPRを時間軸で並べると、まず、2000年秋に始まった学生向け割引サービスの“ガク割”に力を入れまして、これが一段落したところで、文字メッセージサービスの“Cメール”を使ったチャットをCMしながら、家族向け複数回線割引サービス“家族割”を紹介してきました。とにかくあれこれ言い過ぎて、訴えたいことがピンボケになってしまった面は否めません。
[橋本氏] ピンボケしてしまった原因はどこにあるんでしょうか。
[KDDI] 結局、KDDIには、言いたいことが多いんです。“ガク割”は結果としてうまくいきましたが、的を絞ってお客様に訴えることはできなかった。
じゃあ、この間J-フォンは何をPRしてきたかというと、ずっと『写メール』だった。これで新しい市場を作ることに成功したと思うのです、J-フォンは。我々もカメラ内蔵型を検討したのですが、外付けのタイプのデジタルカメラ『PashaPa(パシャパ)』のほうが電話機を選ばない、というメリットがあって良いと思ったのですね。しかしお客様は、J-フォンの内蔵型を支持した。外付けの良さを伝え切れないうちにJ-フォンは、「『写メール』でないと携帯じゃない」という雰囲気を確立していきましたから。
スペックを最大の武器にしたが、お客様には届かなかった
[橋本氏] 少し遡ってみると、訴えたいことがピンボケしてしまったという点では、cdmaOneの時もそうでしたよね。cdmaOne導入の半年くらい前、J-フォンが'98年に藤原紀香さんを起用して、「つながる、いい音で」というコピーでCMを流し始めました。cdmaOneも、それを追いかけるように音の良さをアピールして、さらにその後、NTTドコモも高品質の通話サービス“ハイパートーク”を打ち出してきて――。その結果、「なんだかどこの携帯電話も音が良くなったんだな」という雰囲気が市場に広がり、cdmaOneの良さが突出したものになりませんでした。
あの時は、IDOとDDIセルラー各社は別会社でした。その後は、合併の話が持ち上がり、空白とまではいいませんが、もったいない時間を過ごした印象がします。
[KDDI] もし、合併の影響があるように見えているとしたら残念ですが、実際には違います。やらなければいけないことは合併する前も後も、共通認識としてありましたし、例を挙げるなら“EZweb”という統一ブランドで方向性を合わせるなど、密に情報交換をしていました。ただ、それぞれでやっていた作業はあるので、分散した面もゼロではありません。
[橋本氏] NTTドコモは、'97年頃から音声通話の市場の限界を察し、iモードの仕込みをしながら「ボリュームからバリューへ」というPRをしていました。けれど、DDIやIDOでは、NTTドコモの独占などを訴え続けていましたよね。大いに結構だと思うんですが、そこに寄りかかってしまい、努力を怠っていた面はありませんか? '94年春の電話機売り切り制導入のころは、高い電話代を安くして、NTTドコモが独占していた市場に競争原理を導入したことが、ユーザーから共感を得らていました。けれどそれ以降、PHSのサービスが始まり、ユーザーも3000万人、4000万人と増えていくにつれ、料金格差も少なくなっていきました。ユーザーは、料金を安くしてほしい、という欲求のほかに、プラスアルファを期待し始めたんじゃないでしょうか?
[KDDI] (DDIセルラーに限っていうと)販売の方針を決める拠点は東京にありながら、実際の現場は各地(DDIセルラーは、関西、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、沖縄)にあったので、現場が見えにくいという点はありました。よって方向性を決める際は、技術寄りの話が先行する傾向がありました。
いちばん顕著だと思ったのは、パケット通信を利用した64kbps通信サービス“PacketOne”を導入した時ときです。64kbps通信というスペックを最大の武器にしたのですが、お客様には何も届かなかった。「データ通信カードを使ってモバイルでインターネット」は、これから伸びていく分野という期待値はあったのですけれど、それだけではお客様の心はつかめませんでした。なので、いま売り出し中の(次世代ケータイの)1X(ワンエックス)では、「144kbps通信ができるからすごいぞ」ということはあえて言っていないのです。どこが変わったか、何ができるかを伝え、ユーザーの視点を意識しています。
ぼけ出したターゲットをもう一度はっきりさせよう
[橋本氏] ちょっと話の方向が変わるのですけれど、いまauは、どのようなユーザーが多いのですか? 昔なら、「NTTドコモのケータイは高いし、なんかお役所っぽい感じが嫌だ」という人が積極的に選んでいたと思うのです。しかも、米モトローラ社の『マイクロタック』や『スタータック』などがあって移動機もかっこ良かった。cdmaOneを導入したころは、先進的で高品質なサービスなので、ビジネスマンを中心に使って欲しい、という明確なものがあった気がします。
けれど“ガク割”を導入したころから、アピールするユーザー層がぼやけてきましたよね。着メロ、壁紙などのデータ通信系のサービスは、主に若い層向けのサービスなので、そこを訴えていくと、“ガク割”などが有効なのはわかりますが……。
[KDDI] 確かに最近は、“ガク割”で加入した層はありますね。2000年末に導入し、『C401SA』が投入されたことと重なって、ドーンと売れました。が、急にお客さんが増えたことで、メールの遅延が生じてしまったのです。それで、イメージを落とした面はあります。そういったことが一段落して、いまに至っています。そういった状況を経て、いまのユーザーを見てみますと、根底にはこだわりを持ったお客様が結構いらっしゃいます。ユーザーが情報交換をするネットの書き込みなんかを拝見すると、結構思い入れの強い人が多いのでありがたいと思っています。
このほか、今年はぼけ出したターゲットをもう一度はっきりさせようとする意図から、プロモーション上は、20代前半をコアターゲットにしていきます(実際には、その前後の層を取っていくつもりですけど)。CMキャラクターにタレントの菊川怜さんを起用して、彼女が携帯電話を使うシーンが、若い世代の共感を得られるようにPRをしていきます。
端末の開発に積極的に関わりたい
[橋本氏] 私は、昔からauを使ってい人たちを「自分はauを使っていて大丈夫? 」と心配にさせているんじゃないか、と勝手に思っているのです。周りの人は、NTTドコモやJ-フォンに乗り換えていくなかで、auを選択し続けて大丈夫かな? ――って。
[KDDI] 過去を踏まえまして、ユーザーインターフェイスや、外観やカラーリングなどのデザイン面に手を加え、支持を訴えていきます。細かい話では、塗装の質感などにも凝りまして、ベースのクオリティを上げながら、使い勝手を向上させています。これまでは、各メーカーさんからのご提案を(われわれが)取捨選択するという手法だったんです。しかし、最近は、こちらからも積極的にコンセプトをお伝えしながら、方向性を探るという手法に変えていきます。
[橋本氏] NTTドコモの『らくらくホンII』を使ってみるとその親切さに納得するのですが、現在主流の携帯電話って、使い勝手がいまいちですよね。たとえば、自分の電話番号を確認しようとする時に“自局番号表示”なんて表現が平気で出てくる。こんなの“自分の電話番号を見る”と言ってくれた方が遙かにありがたい。こういう『らくらくホンII』のような心配りが必要なんじゃないですか?
[KDDI] そういう細かい点での配慮が欠けているのは事実です。例えば、ezmovieやeznavigationを、ワンボタンで使えるような工夫はしていかないといけませんね。
このほか、デザインはシンプルで洗練されたものを意識しています。セレクトショップの方たちに携帯電話のデザインについてヒヤリングしたところ、自分達のファッションに合うものがない、という意見を頂戴していますし。
[橋本氏] 話を販売のほうへ移すんですが、最近は新モデルに限って言うと、量販店と直営店の価格差がなくなりつつあります。NTTドコモのユーザーの中には、よりサービスの良いドコモショップへ足を運ぶという話を耳します。auでは、直営店の位置づけをどうされていきますか?
[KDDI] auショップは、我々のブランチつまり支店という位置付けにしたいと思っています。私は、顧客維持に有効なのは、カスタマー・サポートの電話窓口と各地の店舗だと思っています。現状では、店舗間格差、スタッフの個人差があるので、是正していきます。ここを強化しなければ次はない、という覚悟で。
具体的には、共通の教育プログラムを組み、全国統一の資格認定制度を導入します。これによりスタッフのモチベーションアップ、スキルの維持、お客様の立場にたって携帯全般に相談に乗れるような商品知識を身につけていただきたいと思います。
勝ったり負けたりするのはわからない
[橋本氏] この春からCMキャラクターが菊川怜さんに変わりました。auとしては、何を訴え、巻き返していきますか?
[KDDI] 携帯電話は、ショートメッセージかEメールへと移り、メールの文化が浸透しました。我々は、この文化がしばらく続くと思っています。ユーザーからは「auは、メールが弱い」というイメージがもたれているようなので、ここを払拭していきたいと思います。比べてもらえばわかるのですが、本質的にはauのメールは良いのです。
このほか、CDMA方式でなければ次世代ではない、ということを強調していきます。われわれは、すでにPDC方式の新規加入を終了し、その資源をCDMA方式に転用していく予定です。
[橋本氏] 最後に伺いたいのですが、今回の2位と3位の逆転は、瞬間風速的なものですか?
[KDDI] 単月ベースでは、勝ったり負けたりするのはわかりません。一喜一憂せず、先にある目標をきちんと見据えていきたいですね。ただ社内的には危機感が高まっています。サービスの本質的な部分を見直す良い機会だと思いますので、がんばっていきたいですね。1Xも評判良いですし。今後もauをよろしくお願いします。
(橋本保/編集部)
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