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【ロンドン発】PDAや携帯電話を置くだけで充電ができるパッド

Printable Version 2004年6月26日

イギリス・ケンブリッジに本社のあるベンチャー企業のスプラッシュパワー社(Splashpower Ltd.)は、パッドの上に携帯電話やPDAを置くだけで充電できる装置を2001年に開発し、日本やヨーロッパの主要メーカーと技術供与に関する交渉を現在進めている。すでにアメリカの情報家電製品や関連技術の見本市“International CES(Consumer Electronics Show)”などでも公開されているが、今回は同社CEOのリリィ・チェン(Lily Cheng)氏に試作品を見せてもらいながら、その特徴やビジネスの展望などについて伺った。

イメージ図
同社の製品が実用化された場合のイメージ図。パッドの上に、携帯電話やPDAを載せるだけで、充電ができる。同じ技術を採用した機器ならば、一枚のパッドで複数の機器を同時に充電が行えるようになる

同社の製品は、電磁波を発生させる充電台『スプラッシュパッド』(SplashPad)と、スプラッシュパッドから発せられる電磁波を受信して電気に替え充電を行なう『スプラッシュモジュール』(SplashModule)の2つ。基本的な仕組みは電動歯ブラシの充電台で採用されているものと同じ技術で、物理的な接触を伴わず電磁波によって誘導電流を発生させて 、携帯電話やPDAなどの充電を可能にするもの。しかし、電動歯ブラシの充電台で発生する電力が数mWと微弱であるのに対して、携帯電話などの充電に必要な電力(12〜15W程度)を発生させることができる。

スプラッシュパッドは、携帯電話やPDAの充電に必要な電磁波を発生させることができる充電台。試作品(写真)のサイズは幅約150×奥行き約100×高さ約20mmで、電磁調理器の小型版と言っていいだろう。センサーを内蔵しており、何も置かれていない時に電磁波は発生しない。また、携帯電話やPDA以外のもの、たとえば指輪や鍵などが置かれていても電磁波は発生しないので、これらの物が熱を発生することはないという。

スプラッシュモジュールは、携帯電話やPDAのバッテリーとほぼ同じ面積で、厚さは0.7mm以下に抑えられているため、携帯電話やPDAのバッテリーに貼り合わせて装着できる。 バッテリーは従来のリチウムイオン電池を使用するが、モジュール内の充電を管理する集積回路を変更すれば他の二次電池にも応用できる。

『スプラッシュパッド』
電磁波を発生させる『スプラッシュパッド』
『スプラッシュモジュール』を搭載したバッテリーが装着された携帯電
『スプラッシュモジュール』を搭載したバッテリーが装着された韓国SKテレコム社製の携帯電話を、『スプラッシュパッド』の上におくだけで充電ができる。充電にかかる時間は従来の充電器と同じという
スプラッシュパワー社CEOのリリィ・チェン(Lily Cheng)氏
仕組みを説明するスプラッシュパワー社CEOのリリィ・チェン(Lily Cheng)氏。香港出身の25歳で、ケンブリッジ大学の在学時に、ビジネス・プラン・コンテストで獲得した資金をもとに、2001年に友人と同社を設立した

電磁波を使って物理的な接触なしに充電するという技術自体は、目新しいものではない。しかし、同社の充電システムで採用されている

  1. パッドからの電磁波の出力を大きくする技術
  2. バッテリー以外のものが置かれた際には電磁波を出さないようにする技術
  3. 受信側のモジュールの小型化に関する技術

――などは新しく、20数件の特許を申請中という。同社CEOのリリィ・チェン(Lily Cheng)氏や同社の共同創業者は英ケンブリッジ大学在学中は工学を専攻しており、申請中の特許はすべて同社が開発したものだ。

現在、日本/韓国/ヨーロッパの携帯電話やPDAメーカーなどと技術供与に関する交渉を行なっているが、電磁波の人体に与える影響や安全性やコストの問題などを含めた検討がなされているという。同技術を採用した充電システムの製造コストは、これまでの充電器とバッテリーの製造コストよりも高くなる。しかし、同技術を採用した製品が増えれば、メーカー側は、携帯電話やPDAそれぞれに専用充電器を用意する必要がなくなり、長期的には製造コストの削減につながるという考えだ。

一枚のパッドで複数の機器が充電できるようになれば、いくつもの充電器を持つ必要がなくなり部屋の中がすっきりする。また、専用の充電器を携行しなくても、ホテルや喫茶店など人が集まる場所にパッドが置かれていれば、外出先で端末のバッテリー残量が少なくなってもさほど慌てなくていいだろう。スプラッシュパワー社の充電器が普及することへの潜在的な期待は大きい。

(安藤怜)




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