【特別企画】2004年度はauの純増が1位、果たして2005年は!?――2004年度のTCA発表を振り返る
|
2005年04月13日
今月7日、(社)電気通信事業者協会(TCA)から毎月恒例の事業者別の加入数が発表され、これと同時に“参考資料”として2004年度(2004年4月〜2005年3月)の年間集計が公表された。2005年に入ってからの単月での純増はNTTドコモグループが多いが、2004年度を通してみると2003年度に引き続いて年間の純増1位はauという結果となった。
2004年度は2003年度の途中からの状況を引き継ぎ、NTTドコモとauによる純増数のデッドヒートが続いた1年となった。その一方で、ボーダフォンは低迷が続き、ついには月間の順増減数がマイナスに転落した。また、減少傾向にあったツーカーは、減少に一定の歯止めがかかりつつあるという状況に変化している。この1年の状況を振り返ってみよう。
 |
2004年度の携帯電話契約数の推移 |
ボーダフォンのサービス改定ではじまった2004年度
2004年4月の大きなニュースといえば、それまでボーダフォンが“売り”としていた“ハッピータイム”をいきなり6月末で終了させると発表したことだ。ボーダフォン同士なら土日祝日は1分5円で通話でき、2003年10月に開始して以来、好評を得ていただけに、この発表はユーザーの不評を買ってしまった。しかし、1〜2年の長期契約を積極的に結ばせていたことと、これに替わる新サービスを予告したため、ボーダフォンの契約数が減少するほどには至らなかった。
また、4月の契約数では第3世代対決が注目だった。NTTドコモの“FOMA”の増加数がauの“CDMA2000 1x”を抜いた。第3世代の累計契約数では、それから1年たった2005年4月でもauのほうが多いが、2004年4月は全体的な契約数の多いNTTドコモの巻き返しのきっかけになる月でもあった。
PHSが大きな変革を迎えていたのもこのころの傾向である。当時のDDIポケットが現ウィルコムへ変わる第一歩が報じられたのは5月末のこと。対するアステルグループは、全国でサービスの縮小が報じられており、のちにPHS全般に打ち寄せる激変を予感させた。
6月に入ると、ボーダフォンの端末価格が大きく下がるニュースが飛び込んできた。夏モデルの展開も順調に進んでおり、6月のボーダフォンの純増は6万4100件。しかし、その後は月間5万件を超えることはなかった。一方のNTTドコモはFOMAのシリーズを拡充、タッチパネルや動画再生機能強化タイプ、マイナーチェンジモデルと、ラインナップの追加を行なった。
NTTドコモとauの熾烈な戦いの一方では
ボーダフォンの社長交代劇が展開
6月も末になると、この後、二転三転するボーダフォン社長の交代劇がはじまる。まずは社長辞任が突然伝えられ、暫定的な社長としてジェイ・ブライアン・クラーク氏が就任。その2ヵ月後には正式な後任として、NTTドコモ副社長だった津田志郎氏の社長就任が発表される。しかし、津田氏も12月に正式就任した2ヵ月後には社長を退く急転人事が発表される。
加入数も、最初の社長交代の後、7月には初めて純増減数がマイナスに転じてしまった。その一方で、NTTドコモとauはパケット定額サービスで熾烈な争いを展開していた。6月1日にはNTTドコモがFOMAのパケット定額サービスを開始、17日には、定額で先行しているauが“ダブル定額”を発表した。その結果、両社は6月と7月ともに加入者を伸ばし、ボーダフォンが純減に転じ、7月はNTTドコモ、auともに20万件以上加入者を増やしている。
パケット定額サービス競争が激化した7〜8月
8月には再びauが純増1位を獲得した。これは7月に発表したauのWIN対応機種の販売好調が寄与したものと思われる。auのパケット定額サービスに対応するWIN対応携帯電話は、それまで最新スペックを搭載しない3機種のみだったが、ここにきて最新機能を備えた『W21SA』などを発売し、最新機種でもパケット定額サービスを受けられるようになったのが大きく影響したのだろう。
9月になると、ボーダフォンが一転、4万9700件の純増を記録。9月末には世界共通仕様の3G携帯電話のラインナップを発表、グローバルな製品を投入して、復活の兆しとも思えた。しかし、その後のボーダフォンの純増数は減少の一途となった。
この時期は、ボーダフォン以外の事業者も年末商戦に向けて新製品の投入などが盛んだった。10月にはauが年末商戦向けモデルを発表するとともに、楽曲を1曲まるごと配信する“着うたフル”を発表、NTTドコモは11月に“FOMA 901iシリーズ”を発表した。高機能な端末と便利なサービスが次々と発表されていった。
ツーカーが巻き返し? 『ツーカーS』の衝撃
数々の新端末/サービスが登場した2004年度だが、忘れてはならないのがツーカーの『ツーカーS』だ。ほかの携帯電話を見慣れた目からは違和感を覚えるくらい何もついてない端末だが、これが意外にも(?)大ヒット。それまで減少傾向一辺倒だったツーカーの契約数も『ツーカーS』発売後の12月には1万5500件の増加を記録した。
年が明けても減少数が2ヵ月連続で5万件を超えるなど、ボーダフォンの不調が目につく。しかし、年末にパケット定額制を導入したり、相次ぐ3G端末の投入によって、ボーダフォンの3G(W-CDMA)方式の伸びが続いていることも忘れてはならない。また、3GへのシフトにはNTTドコモも本格的に取り組んでおり、普及型FOMAの“700iシリーズ”を発売した。
2004年度を締めくくる3月には、auもパケット定額オプションの最低料金を下げた新料金プランを発表。パケット定額制導入の敷居を一気に低くした。PHSでは社名が変わったウィルコムが音声通話の定額制を発表するなど、データ通信の低価格化をめぐる競争はさらに激化している。
2005年はNTTドコモとauの激しい競争に
2004年度の加入数の推移をその時々のニュースとともに振り返ると、良くも悪くも節目節目にボーダフォンが話題を提供する結果となった。後半は、ボーダフォンの減少が目立ったが、裏をかえせばNTTドコモとauの激しいサービス競争の結果、両者がよりユーザーの支持を得るサービスを展開し続けたということでもある。
2005年度も端末やサービスの状況が変わらない限り、この傾向が続くと思われる。そして、2006年度には番号ポータビリティの導入が予定されている。今後もサービス競争や、年間契約制度による料金割引など、激しい事業者間のユーザーの囲い込み競争が続いていくだろう。
(永島和夫)
|