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W-ZERO3 【速攻レビュー Part.2】交錯点の苦悩
W-ZERO3
ウィルコム/シャープ
オープンプライス(実売価格4万円弱:新規契約時)
http://www.willcom-inc.com/ja/
http://www.sharp.co.jp/


Printable Version 2005年12月19日

1回目のレビューでは、バッテリー寿命とウェブの表示速度を中心にレポートした。今回はPHS電話機とPDAという2つの側面を持った『W-ZERO3』の操作性を主な話題にしてみたいと思う。

作法の違いをどう受け入れるか!?

W-ZERO3
W-ZERO3。もう入手できただろうか?

 W-ZERO3のカテゴリーは“スマートフォン”。つまり電話機の一種なのだが、Windows Mobileを採用した関係で、既存のPHS電話機とは使い勝手が異なる部分がある。W-ZERO3はアスキー社内でも非常に人気があり、14日の発売日に早速入手した人間もかなりいるのだが、その中のひとり月刊アスキーのオカモトが「電話をかけるのに手数がかかりすぎて面倒」とぼやいていた。

通話風景
身近にいた人にW-ZERO3で通話してもらった

 オカモトがどう操作していたかというと、トップ画面(スタート)で“連絡先”を選んで、まずアドレス帳を表示。そこから電話する人にカーソルを合わせる。そして、まずここで“通話ボタン”を押す。

 しかし、電話がかからない。しょうがないので人の名前をタップ。アドレスが表示される。ここで通話ボタンを押してもダメなので、再度タップ。そうするとアドレスを編集する画面になってしまい……。しょうがないので、前の画面に戻り、おかしいなあと頭を軽くひねって、右下のメニューの中に電話をかけるためのメニューがあることを発見。

 2回目以降はそこから電話をかけることにしていた……! のだという。私は「何でそんな回りくどいことを」と内心思っていたのだが、脇にいた副編集長のサクマ(京ぽんユーザー)は「ケータイに慣れてる人だとそう操作するよね、うんうん」と、いかにも“そうする”という顔で眺めている。

 個人的には、縦位置で右下にある“通話”ボタン(緑色)を押して、“電話”アプリを立ち上げ、そのすぐ上にある“−”ボタンを押して“連絡先参照”を選択。そこから電話をかけたい人を選ぶと言うのがベストな作法(3ステップ)と考えている。PDA(というかPocket PC)的な作法に慣れている自分のような人間にとっては、わりと自然な操作手順である。

 この光景を見ていた私の頭の中には中央アジアの荒涼とした大地がちらついていた。これはPHSとPDAの“お作法が交錯(こうさく)”するシーンと、“東西文化の交差点”が無意識のうちにクロスオーバーしたためだが、各機能を等しくアプリとして呼び出すPDA的なアプローチと、電話機(通話)を中心として関連する機能はメニューから呼び出すPHSや携帯電話機とでは、感覚のギャップがかなりあるんじゃないか、というのが率直な感想である。やや厳しい言い方をすると、W-ZERO3はPHSとPDAの機能を組み合わせたことで、従来の電話機や携帯電話機にはない高機能を手に入れたが、その反面で、微妙に異なる土壌で育まれてきた双方の作法をいまひとつ消化し切れていない。それがW-ZERO3の悩ましさである。



操作ボタン
操作ボタンには、通常のPocket PCにはないキーがいくつか追加されている。両サイドの通話/切断ボタン、とその上の“─”ボタンは典型例だ

 上に述べたのはその一例なのだが、操作を繰り返していると、これ以外にもいろいろな違和感を感じさせる部分がある。例えば、多くの人が悩みそうな作法として、インターネットへの“接続”と“切断”が挙げられる。

 W-ZERO3では基本的にブラウザーを立ち上げると自動的にインターネットに接続する仕組みになっているが、

  1. PHSでダイヤルアップする際の接続先の変更
  2. 電池を節約するためにPHSカード/無線LANアダプタへの電源供給を切る方法
  3. PHS接続を手動で切断する操作
  4. 無線LANを一時的に切断する操作

――など、いずれも関連する操作なのにあまり一貫性がなく、これまで携帯電話機やPHSしか使ったことのない人は戸惑う原因になってしまうのではないだろうか。

 参考までに、上記(1)〜(4)の操作方法に関して紹介しておくと、

  1. スタートメニューの“設定”で下の“接続タブ”をタップ→“接続”アイコン→“詳細設定”タブ→“ネットワーク”の選択→“インターネットに自動的に接続するプログラムの接続方法”のプルダウンメニューからダイアルアップ接続したい設定を選択
  2. スタートメニューの“設定”で下の“システム”タブをタップ→“ユーティリティー”を選択→“無線ON/OFF”で、“全ての無線機能を停止する”“W-SIM(PHS)を停止”“内蔵ワイヤレスLANを停止”のいずれかにチェックボックスを入れる
  3. 本体前面の“切断”ボタン(赤い電話アイコン)を押す
  4. 画面上方のタイトルバーで“無線LANアンテナ”のアイコンをタップ→吹き出しで“フライトモードに設定”をタップする(フライトモードは無線LANをサスペンド状態にするモード)

──となる。実際に操作してみると分かるが、本体のボタン、タッチスクリーン、キーボードそれぞれだけで操作を完結させることは非常に難しい。そして、(3)のようにPHS的な操作のときもあれば、パソコン的(しかもかなり深いメニュー階層に下りないといけない)な場合もあり、操作に慣れるまでは少々時間がかかりそうだ。

接続アイコン
タイトルバーにはPHSの電波状況(左から2番目のアイコン)と無線LAN(同3番目)のアイコンが並ぶ。現在は無線LANで接続している状態だ
接続先
自動的にどこに接続するかは、“接続”の詳細設定画面で、“インターネットに自動的に接続するプログラムの接続方法のプルダウンメニューを選択する”
ユーティリティー
無線LANとPHSのON/OFF
PHSと無線LANのON/OFFは“ユーティリティー”の設定で行なう

 慣れれば使えるレベルではあるのだが、PDAの初心者でも悩まずに使えるという仕上がりにはなっていない。W-ZERO3はマニア層を中心に非常に好調な滑り出しとなったが、今後底辺を広げていくためには「私には使いこなせない、難しい」と思わせてはいけないだろう。

 取り付きにくさの原因は、主にWindows Mobileに起因するものなので、すぐに修正することは難しいと思うのだが、例えばこれらの接続管理を一貫した操作で一括して行なえるユーティリティーは切望したい。そういったアプリをトップ画面やアプリケーションボタンから直接呼び出せるようにしてもらえるだけでも、だいぶ使い勝手が高まるはずだ。


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