2006年10月05日
京セラ(株)製の『W43K』は、auの'06年秋冬モデル12機種の中で、最も音楽機能にこだわった携帯電話機だ。auの音楽配信サービス“LISMO(au LISTEN MOBILE SERVICE、リスモ)”に対応し、“着うたフル”やパソコン経由でCDから読み込んだ曲を本体の“au Music Player”で楽しめるのはもちろん、携帯音楽プレーヤーに匹敵する高い操作性と高音質で他機種をリードしている。今回は、そんなW43Kの音楽機能を“一本釣り”してみたい。
 |

ディスプレーを開いた状態の『W43K』 |
クリック感がイイ感じのセンサー付きリング
 |

ディスプレー背面。中央の丸いサブディスプレーの周囲に配されているのがセンサーリングキーで、着信時などキーの周囲がイルミネーションで光る。 |
 |

底面。おサイフケータイ(FeliCa ICチップ内蔵)のマークと音質改善技術“BBE M3”のロゴが入っている。 |
W43Kの最大の特徴といえるのは、サブディスプレーの周りにさりげなくあしらわれた、リング状の“センサーリングキー”だ。ケータイを閉じたまま携帯音楽プレーヤーのように操作できるだけでなく、デザイン的にスッキリとして見えるのも、ほかの音楽ケータイにはない魅力だ。
上下左右を押すことで方向キーになるのはなんとなく見ればわかるが、実はリング部分はタッチセンサーになっており、音量調整や曲の選択はリングをこするだけで快適に行なえるようになっている。たとえば、リングの任意の場所を上方向になぞると音量は大きくなり、逆に下方向になぞると音量は小さくなるといった具合だ。方向キーでは曲の選択のほか、再生/一時停止、早送り/巻戻しが行なえる。つまり、音楽再生に必要な基本的な操作はセンサーリングキーだけで完結する。
タッチセンサーをうまく操作するコツは、iPodのように指をつけたままグルグル回すのではなく、上(あるいは下)までなぞったらいったん指を離すこと。上キーと下キーの間の半円をゆっくりなぞるようにすると確実に操作できる。リングの幅は5mmほどあり、指を乗せたときに安定感がある。さらに方向キーには適度なクリック感があり、しっかりと押せるのもいい。歩行中や電車の中でも確実に操作できるのはもちろんだが、試しにわざとせわしなくボタンを押してみても、操作に対する反応も実にスピーディーだ。
 |
ディスプレーを閉じた状態で側面の“モード”ボタンを押すと、センサーリングキー対応アプリの一覧がサブディスプレーに表示される(左)。ここで下を押すとau Music Playerが起動する。リングキーの上下もしくは指でなぞることで項目を選択し、右側を押し込んで決定する。この操作を2〜3回繰り返すと曲を再生できる。 |
 |

左側面(上)にはヘッドフォン端子と充電用コネクターが並ぶ。右側面(下)はMicroSDスロットと“マナーモード”ボタン、“モード”ボタン、ロックスイッチが並ぶ。 |
曲選択から再生までは上下キー(選択)と右キー(決定)だけで操作できる。ただし、例えば、“アーティスト一覧→曲目一覧→再生画面”と進んで、そこからひとつ上の階層に戻るような場合、“曲目一覧”から“アーティスト一覧”に戻る場合は素直に“左キー”を押せばよいが、再生画面から“曲目一覧”に戻る場合だけは、曲を一時停止をしてから“上キー”を押す必要がある。つまりメニュー操作の途中でキーのアサインが変わってしまうのである。慣れてしまえばどうということはないが、使い始めは戸惑うかもしれない。
携帯電話とは思えない高音質に感動
au Music Playerでは、“HE-AAC”というデジタル圧縮されたデータを再生するが、圧縮データでもいい音に聞こえるよう、W43Kには多数のワザが注ぎ込まれている。通常のイコライザーやサラウンドに加え、米BBE Sound社の“BBE M3”と、(株)ダイマジックの“DBEX”という高音質技術を採用した2つのモードを搭載しているのだ。
BBE M3は携帯電話用の音質改善技術だ。曲をデジタル圧縮する際に切り捨てられた高調波を効果的に修復するとともに、弱められたステレオ感を補充することで、微妙なニュアンスや臨場感/明瞭感などを蘇らせる。
一方のDBEXは帯域拡張技術だ。こちらは、デジタル圧縮によって失われた高低音域を補完し、原音に近い自然なサウンドを実現する。DBEXを搭載する機種はほかにもあるが、BBE M3を搭載する携帯電話機は現時点ではW43Kだけとなる。
試しに2つのモードで着うたフルを聴き比べてみたが、BBE M3にしたときの方が断然感動的だった。DBEXは演奏全体をいい音にした感じ。対してBBE M3は音の1粒1粒を瑞々しく(みずみずしく)した感じとでも言えばいいだろうか。BBE M3にしたら、アンジェラ・アキの吐息や、ジャミロクワイのうねるようなベースに思わず鳥肌が立った。
 |

ウーハー内蔵のドーム型充電台。ウーハーを鳴らすにはACアダプターをつなぐ必要があるが、充電台自体は携帯性に優れ、置き場所も取らない。キッチンや風呂場のそばなど、家の中の好きな場所でラジカセ代わりに鳴らすには充分だ。充電台に乗せたままケータイを開け閉めができないのが残念。 |
 |

充電台底面。上のほうにウーハーの穴が見える。 |
W43Kにはドーム型充電台が標準で付属し、部屋の中でもいい音で聴けるようになった。充電台の底面には、低音域を強調するウーハーが1つ、埋め込んである。W43Kを乗せるだけで安定感のあるサウンドが広がる。
音楽を高音質で長時間楽しむことも可能だ。連続再生時間の目安は、高音質モード「OFF」のときで約18時間、DBEX「ON」で約15時間(ともに公称値)。最も高音質なBBE M3“ON”の場合でも14時間53分の連続再生が可能だった(実測値(※1))。
※1
音量は15/20でイヤホンを使用。音質以外の設定はデフォルトにした。
細かい操作性で気になるところも……
音楽プレーヤーとしては強力なW43Kだが、本格的に使うことを考えると、個人的に気になる点がある。筆者の場合、歌詞を眺めながら曲を聴くことが多いのだが、メインディスプレーに歌詞を表示したまま、慌ててケータイを閉じてしまうことがよくある(電車の乗り換え時など)。するとW43Kは「操作中」になり、音楽は鳴り続けているのに、閉じたままでは何も操作できなくなってしまうのが窮屈だった。このあたりの操作性には、今後の改善を望みたい。
また、閉じると24ミリほどあり、手の小さい筆者にはやや分厚く感じた。閉じたまま音楽プレーヤーとして操作することを考慮すると、特に手の小さな女性には抵抗感があるかもしれない。
しかし、そんなわずかなアラなど帳消しにするほどの魅力があるのは前述の通りだ。おサイフケータイやFMラジオなど、auのサービスのほとんどすべてに対応するW43K。カメラのCMOSセンサーが131万画素と、イマドキのケータイでは凡庸な点を除けば、現時点でベストな音楽ケータイだ。
なお、京セラ(株)では、W43Kの操作感を体験できるスペシャルサイト(http://w43k.jp)を公開している。興味のある方は覗いてみるといいだろう。
(ヤシマ ノブユキ)
|