世界初!W-CDMA方式「FOMA」の通話音質チェック!!
ケータイ音比べテストを実施
|
2001年06月01日
NTTドコモが世界に先駆けて、ついにサービスを開始した次世代携帯電話「FOMA」。W-CDMA方式を採用し、通信データをこれまでの数百倍に相当する幅広い周波数帯域にスペクトラム拡散することで、 障害やノイズを受けにくい大容量の通信を可能にしたという。この「FOMA」のなかでスタンダードタイプとして提供されるN2001は、iモード、iアプリが利用できる音声通話端末である。従来のPDC方式に比べて、さらにクリアで快適な通信環境をアピールするN2001の実力を、各社の携帯電話と比較する形で品質チェックを行った。評価者は携帯電話をとことん使いこなす達人達。評価方法は、2000年1月に小学館『DIME』が行った比較テストに準じた。
さっそく、チェックの結果を見てみよう。
<今回のテストの実施要領は以下の通り>
(1) 下記の6端末からNTTの一般回線に電話をかける
(2) 端末の電波受信状況はアンテナ表示最大。いわゆる「バリ3」状態である
(3) 電話を受ける側は、端末の種類を明かされずに音声を聞き、もっとも音声の状況が好ましい順番にランクを付ける
(4) 各評価者の持ち点は21点。その21点の中で配点を行う。最も音が良いと思われた端末に6点。以下2位5点、3位4点、4位3点、5位2点、6位1点の配点を行う。点数が多いほうが音が良い端末ということになる(24点満点)
実際のテストは、2001年5月31日、木曜日の午後7時より約1時間にわたって行われた
<評価端末>
NTTドコモ N503i(PDC・ハイパートーク対応)
ツーカー TT03(PDC)
au C406S(cdmaOne)
J-フォン J-SH04(PDC・EFR対応)
NTTドコモ 641Ss(PHS)
NTTドコモ N2001(FOMA)
 |

今回テストに使用した機種 |
<評価結果>
| 評価者 |
NTTドコモN2001(FOMA) |
NTTドコモN503i(PDC) |
NTTドコモ641Ss(PHS) |
au C406S(cdmaOne) |
J-フォンJ-SH04(PDC) |
ツーカーTT03(PDC) |
| 橋本 |
3 |
1 |
6 |
4 |
5 |
2 |
| 川辺 |
5 |
1 |
6 |
4 |
3 |
2 |
| 大槻 |
6 |
3 |
1 |
4 |
5 |
2 |
| 正田 |
5 |
3 |
6 |
4 |
2 |
1 |
| 合 計 |
19 |
8 |
19 |
16 |
15 |
7 |
※点数が多いほうが音が良い端末ということになる(24点満点)
発信場所は東京都渋谷区代々木、京王線初台駅近くのアスキー本社ビル付近で行った。発信者はアスキー『携帯24』の木暮祐一。編集部窓際席より各評価者あてに電話番号非通知で発信を試みた。受信者(=評価者)は以下の4名。
橋本 保(小学館DIMEなどで活躍するフリーライター)
川辺一雅(小学館DIME編集部デジタルメディア担当デスク)
大槻眞美子(話し出したら止まらない!月刊アスキー副編集長)
正田拓也(アスキー『携帯24』スタッフ)
評価者コメント
橋本 保 結論から言うとFOMAは、予想以上に良い音だった。NTTドコモが言う「固定網と同等の通話品質」というレベルは確保していたように思える。PHSは背景の音などもきちんと聞こえ、相手がどういった状況で電話しているかも伝わってきた。けれど声の再現性は差が少なかった印象だ。若干デジタルっぽいノイズが感じられたが試験サービス中という点を差し引く必要もあるだろう。これが普及すれば「NTTドコモは音が悪い」という汚名は返上できるに違いない。以前DIMEで比較を行なったときは、ハイパートークの有効性に驚いたことを覚えている。が、今回の試用ではNTTドコモのハイパートークは効かず、J-フォンのEFR(エンハンストフルレート)は効いていたようだ。iモードやJ-スカイで人気が高まっている両者だが、音声通話は時間や場所など条件によって変わってしまう。通話品質の高さでは、PHSとcdmaOneの優位性は変わらない。これを消費者に届く言葉で発信し、もっと生活にあった料金プランが選べるようになればケータイ電話業界の勢力図はもう少し違ったものになるはず、と改めて感じた。
川辺一雅 「木暮さん、いま何時ですか?」「いま20時18分です〜」こんな会話を続けた。通常の会話だと、音声がとぎれたり、聞きづらくても、前後の言葉から頭のなかで言葉を補ってしまうがちで、音の善し悪しが評価しづらいからだ。しかし数字は確実に聞き取れないと「え、なに?」と聞き返すことになる。PDCは依然として「え?」の乱発会話になりがちだ。ぶつぶつと途切れが連発したときは、会話がやりなおしにさえなる。これでは、実際のビジネスシーンで使いものにならない。cdmaOneはかなりスムーズな音質なのだが、デジタル感は残っており、ケータイからの電話であることはわかる。PHSの自然さは、こうして比べてみるとやはり歴然だ。固定回線と遜色はない。そしてFOMAの音声品質は、このPHSと同等に感じられた。唯一それとわかったのは、位相のずれたような独特の短いノイズを聞くことができたからである。これはかつて耳にしたことのない種類のノイズだった。ただ、決して会話の妨げになるようなものでもなかった。少なくともFOMAは、ビジネス上、相手にも、そして自分にもストレスをかけない会話ができるケータイであると期待できる。
大槻眞美子 帯域不足だとか、理由はいろいろあるとは聞いていつつも、じつは今回のFOMAへの移行で携帯電話の流れがどう変わるのか、実感できていない。実際にFOMAの端末に触れてみて、電話をかけてもうまくつながらなかったり(もちろん回線混雑という理由はあり得ない)、つながれば従来のPDCやcdmaの端末とは明白に上質とわかる音声品質、目の前にいる相手とFOMA端末で通話を試みたところ、実際の声と受話器からの声に時差があったり、「ああ、いままでとはまったく異なる技術に挑戦しているんだな」という試行錯誤の課程をドコモが踏み出したことを体感した。
PHSについて評点が低かったのは、ちょうどガサガサという音がかぶって、会話がしにくかった。こういった意味で、安定した会話のできるほかの携帯電話よりも悪い点数をつけてしまった。
編集部注:
今回PHSが低い評点となったのは、電波状況によって雑音や音声とぎれが起こり、通話状態が悪くなるという状況が試験時に現れたにすぎません。
他のテスターの評点と平均すれば、PHSが音声通話において優秀な部類にあることは明らかです。
|
|
正田拓也 とにかく音の区別ができなかった。アスキー社内で使用しているボタン電話システムの問題なのか。ふだんならPHSと携帯電話系を聞き間違えることなどないはずなのだが、今回に限ってはFOMAとPHSの区別がつかなかった。全体的に音がこもってきこえたのだ。その他も音の途切れ具合でなんとかPDCだというのがわかる程度の僅差であると断っておく。FOMAの音質についていえば、調子のよいときのcdmaOneのようなツヤのある音である。それでいて、PHSのような硬い感じの音質にならないのもcdmaOneと同じ。ただ、バックノイズも音声に関していえばきちんと拾ってしまうことがPHSに近い点だ。この部分は、FOMAの特性よりも、N2001の音声部分の設計による部分もあるだろう。しかし、FOMAといえども遅延の問題までは解決していないようので、複雑なやりとりのある会話をすれば、PHSとの差は出てくるだろう。
PDCに関していえば、以前に比べて状況がかなり改善されている。各社ともにコーデックが変更になっているため、以前のいわゆる“ケータイの音の悪さ”にはならない。しかし、今回の試験はケータイと一般固定電話間の通話であり、ケータイ間の通話では、極端に音が悪くなる場合もあるので、実際にはこの試験結果どおりに音の良さが体感できない場合もあるだろう。
木暮祐一 1時間弱にわたって、とにかくケータイをかけまくった。平日午後7時頃というとトラフィックの高い時間帯だ。携帯電話人口が急増した頃はなかなかつながらないなど、ケータイは不安定なものだったのだが、アナログ向けの帯域のデジタルへの転用も終わり、今では極めて安定していて接続に失敗することはほとんどない。今回のテストでも発信のミスはFOMA以外は全く発生しなかった。というか、安定したPDCが当たり前になってしまった現在、かえってFOMAの不安定さが目についてしまったのか。これは果たして端末のせいか、それともネットワーク側の微調整が十分でないのか? W-CDMA方式を採用したFOMAは、音質もcdmaOneに非常に似ている。評価者各人も、FOMAとcdmaOneの聞き比べに苦労されていたようだ。 これまで私は、新しいサービスが提供されるときには必ず初日には購入し、比較使用を試みてきた。我が国で初のCDMA方式導入となった1998年7月14日、すなわち関西セルラーのcdmaOneサービスイン時にも前日から大阪入りしてテスト通話を繰り返した。「電池が持たない」など、それなりにトラブルも多発していたものの、表立った大きな問題はなく、ほどなくしてcdmaOneは市民権を得たようだった。
しかし、今回のFOMAスタートの印象は、決して良いとは思わない。音質こそPDCとは断然違うものの、発着信の不安定さは辟易した。ブラウザやメーラーを搭載しているためソフト上の問題も多発しているというが、安定した通話ができるかどうかはもっと基本的な問題だ。現在のFOMAの安定度はとても商用サービスとして耐えられるものではない。ブラウジング中に、端末がフリーズする場面にも何度か遭遇した。引き渡し時に、「調子の悪いときは電池をはずしてリセットするように」と説明される携帯電話は前代未聞だ。「試験サービス」とせざるを得なかった理由がわかったような気がした。
(編集部 木暮 祐一)
|