【携帯24香港ツアーレポートVol.4】携帯電話天国「香港」の魅力に迫る
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2001年07月18日
携帯電話のあるべき姿を再認識
いつしか、「マナー」という建て前のもとに使う場所を制限されるようになった日本の携帯電話。電車の車内などで通話をしようものなら冷たい視線を浴びることになる。携帯電話は本来、場所を選ばずどこでも通話するためのものだったのに、これではいざという緊急時に役立たない。
ところが香港では、携帯電話を規制する場所はない。厳密に言えば、病院の診察室付近は使用禁止の場合もあるのだが、香港の人たちはいつでもどこでも通話する権利を主張するかのごとく携帯電話を利用している。もちろんそれがあたり前だから、電車の車内で通話をしようが、とがめる人はいない。たとえば私たちツアー一行を案内してくれたガイドも携帯電話の電源は常にONだ。「左に見えますのは…」とガイドしている矢先にかかってきた電話にもちゃんと応答していた。もちろん「今、仕事中」と言ってすぐに切るのだが。また、ツアーバスの運転手も走行中に元気に通話していた。こちらはイヤホンマイクを使ってハンズフリーにし、安全に配慮の上のこと。
香港のバスや地下鉄といった公共交通機関では、乗客が通話をするのはごく普通のこと。日本の場合、地下鉄は主要駅のホームでしか利用できないが、香港の地下鉄は完全に全路線で利用できる。つまり地下を走行中にも通話が可能なのだ。かなり混雑している車内でも通話をしている人を多数見かけるが、それが常識とあって誰も気にすることはない。
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地下鉄に張り巡らされている携帯電話用マイクロBSのアンテナ。移動中の地下鉄車内でも、ホーム上でも、もちろんそのまま地上へ移動する場合でも通話は途切れない |
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地下鉄移動中にPalmとノキア8210(赤外線ポート付)でメールチェックする香港在住の翻訳家・村上純一氏 |
香港の携帯電話普及状況
立地的にも携帯電話を普及させやすかった香港では、日本よりも早く一般に携帯電話が普及していた。現在、香港の携帯電話契約台数は330万台を超えている。人口は650万人なので、人口のおよそ半分以上。実質、可処分所得層のほとんどの人が利用している状況にある。
日本も人口の50%を超えた契約者数を誇るが、じつは香港のほうがはるかに利用率が高い。というのは、日本の場合、事業者によってはプレイペイド契約も契約者数にカウントしているのだが、香港をはじめとするGSM方式の携帯電話利用圏ではプリペイド利用者を契約者数にカウントしないのが通常なのである。
実際に香港の利用状況を見る限り、プリペイド利用者はかなり多い。街中の至るところにあるコンビニエンスストアで気軽にプリペイドSIMカード(プリペイド回線)を購入することができるのだ。
ただし、学生が利用している姿はあまり目にしない。日本では、中高生にも相当数普及しているのだが、香港の場合はあくまでも自分自身で収入のある人が利用するものらしい。日本のように子どもの安全のために携帯電話を与える家庭もあるようだが、多くの学校では生徒が学校内で携帯電話を利用することを禁止しているという。
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いまではTVアンテナより多そうな携帯電話基地局のアンテナ。とにかく高層な建物が多いため、基地局のアンテナの照射角度も相当気を遣っているようだ |
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ビル上のほか、このように壁面に取り付けられた基地局アンテナもある |
携帯電話の事業者と方式
香港は狭いエリアの中で、9社がしのぎを削っている。香港テレコム系の「1010」「One2Free」「1+1」にハチソンテレコム系の「Orange」「スマトーン」などが追従。
「Orange」というブランドは、そもそもハチソングループの社長がイギリスで普及させたオペレータ(キャリア)ブランド名で、そのブランドを香港に持ち帰ってきたもの。同じロゴの携帯電話がイギリスと香港で見ることができる。
香港各事業社の競争は激化するばかり。というのは、最近香港では自分の携帯電話番号そのままで別の事業者に乗換えることができるようになったので、これまで以上にユーザーが条件の良い事業者に移るようになったからだ。電話番号が変わってしまうとなれば、事業者乗換えも躊躇するだろうが、電話機もそのまま、しかも電話番号まで同じで別の電話会社に乗り換えられるとなれば、ユーザーは直ちに契約し直すことは当然のことである。
各事業者は電話機やサービスの値段を下げてでも自分の会社を利用してもらうよう、利益は少ないなかで精一杯努力している。
香港の携帯電話通信事業者一覧
| 事業者名 |
方式 |
URL |
| SMARTONE |
GSM |
http://www.smartone.com.hk/ |
| Orange |
GSM/CDMA |
http://www.orangehk.com/ |
| 1010 |
GSM |
http://www.1010.cwhkt.com/ |
| One2Free |
GSM |
http://www.one2free.com/ |
| SUNDAY |
PCS |
http://www.sunday.com/ |
| EXTRA |
PCS |
http://www.extra.com.hk/ |
| 新世界伝動網 |
PCS |
http://nwmobility.com/ |
| PEOPLES |
PCS |
http://www.peoples.com.hk/ |
| 1+1 |
TDMA |
http://www.cwhkt.com/1+1/ |
通信方式は、世界標準方式のGSM(SMARTONE、Orange、1010、One2Free)CDMA(Orange)、TDMA(1+1)、PCS(SUNDAY、新世界伝動網、EXTRA、PEOPLE)などとなっている。
GSMはご存知のとおり世界標準の方式となっており、電話機も回線契約もそのまま世界中で利用できるのがポイント。CDMAは高品位な音声通話が可能で高速データ通信もサポートしている。PCSは通話料、基本使用料ともに低価格なのが売り。
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メーカーブランドとキャリアブランドが共存。写真のC401SAはau向けのcdmaOneと外観は同じ。中国語版だが、日本語フォントがROMに残っているようで、日本語のWAPサイトを閲覧可能というバグ(?)付き |
端末と回線の分離
GSM方式は、電話機と回線が完全に分離しているのが特徴。すなわち、回線契約(電話番号等の契約情報)はSIMカードというチップカードに書き込まれ、単体で販売されている携帯電話端末にSIMカードを挿入することで、はじめて端末と契約が一体になり、通話ができる状態になる。携帯電話端末は家電品と同じように販売されており、端末の購入の際に回線契約の必要はない。ユーザーが機種変更するときは、購入した新しい端末に自分でSIMカードを差し替えるだけで完了だ。またSIMカードは毎月基本使用料を支払う回線契約を結ぶもののほか、コンビニエンスストアなどではプリペイド方式のSIMカードも販売されており、一時的な利用のときは端末さえ持っていれば、コンビニエンスストアで必要度数のプリペイドSIMを購入し端末に挿入すればいい。ただしプリペイドの場合は国際ローミングやデータ通信などをサポートしていないものもある。
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価格暴落中のエリクソンR310sc。当然のことながら購入してしまった |
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購入したR310scにSIMカードを挿し換える。これで機種変更完了 |
一見良いことづくめのように見えるが、問題点は端末価格が高くなってしまうことだ。単に携帯電話を香港内でのみ安く利用できればいいユーザーにとっては、日本と同じように回線契約とのセット販売のほうが向いている場合もある。香港においても、事業者が展開するキャリアショップにおいては、回線と端末のセット売りをしているところも多い。この場合、一定期間(たいてい24カ月)の回線契約を結ぶと同時に、端末にSIMロックをかけて(他のSIMを挿入できないようにする)、端末代を実質無料にするところもある。
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NOKIAショップ。携帯電話の販売店はいわゆる何でも扱う併売店のほか、端末メーカーによるメーカーショップと事業者が展開するキャリアショップがある |
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エリクソンショップで見かけたブルートゥースアダプターとハンドセット。専用パーツが充実するのはメーカーショップならでは |
日本の携帯電話事情に目を向ければ…
このように香港の携帯電話業界は、ユーザーにとって最大限にメリットのある仕組みが出来上がっている。通信料を払うのはユーザーであり、その恩恵がユーザーにあるのは当然のこと。これが自由資本主義の象徴である。
ところが、香港での事情を知ると我が日本の通信事情は旧態依然としていることに気付くはずである。番号ポータビリティ(同じ電話番号のまま事業者を変えることができる仕組み)の問題ひとつとっても、ユーザーにとってはこの上なく便利な仕組みであるし、それによって競争原理が働いてくれるわけだが、事業者にとってメリットはないために、実現に向かって動こうとしていない。通話・通信料についても、ユーザー本位の価格設定ではなく、あくまで事業者が一方的に水準を作り、他の事業者もそれに追従するだけ。はたしてこれで胸を張って「ケータイ先進国」と言えるのであろうか? ぜひ多くの日本のユーザーの皆さんに考えていただきたいところである。
中古端末市場
香港では携帯電話のことを「手提電話」といい、略して「手機」。またストラップのことを「手縄」、着メロを「鈴聲」という。なんだかトンチのようで面白いが、それでは露店などで「二手」と書かれた値札のついた携帯電話機が売られている。「二手」とは? つまり2度人の手に渡るということで、「中古」を意味する。
GSM方式の携帯電話は前述のようにSIMカードによって端末と回線が完全に分離されている。したがって、新しい携帯電話を購入すれば、自分でSIMカードを差し替えるだけで機種変更完了となる。古い携帯電話端末は人に譲るのも簡単なのだ。したがって、中古機市場がきちんと形成されており、安く携帯電話端末を手に入れたいユーザーの需要を満たしているのだ。
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「二手」(中古端末)専門店。このような中古端末ショップはかなり多い。上段のイリジウムはご相談とか。価格は程度次第でまちまち |
香港の携帯電話購入スポット
香港には大規模な量販店は存在しない。同種の小さなショップがたくさん軒を並べることで集客を狙う。秋葉原のラジオデパートのようなものだ。ラジオデパートの携帯電話版が旺角(モンコック)にある「先達広場」だ。
雑居ビルの1〜3階に小さな携帯電話ショップが密集する。ここに足を運べばあらゆる携帯電話を比較しながら購入することができるのだ。もちろん携帯電話に関連するグッズや商品は何でも手に入る。ショップによって個性まちまちで、レア商品を扱うショップ、中古機専門店、本体パーツ専門店など、見ていて飽きない。
先達広場とともに有名なスポットがもうひとつある。深水捗(シャムスイポ)の路上露店街「鴨寮街」である。路上に並ぶ露店の大半では携帯電話のパーツやアクセサリの販売を行っている。こちらは中古機の販売店が多く、とくにレアもの系の旧機がたくさん見つかるはず。
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ここが香港の携帯電話販売のメッカ、「先達広場」だ。フロア中に小さな携帯電話ショップが密集する |
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鴨寮街の露店で、なぜかツーカーのTH541(モトローラ)を発見。日本でもレアだが、当然のことながら香港では使用することもできないのになぜ売っている? |
GSM方式携帯電話の場合、端末の規格は世界共通。ノキア、エリクソン、モトローラといった一流ブランドものから、メーカー名不詳の怪しい端末まで色々な種類のものが流通している。ノキア、エリクソン等は端末メーカーが代理店を通して販売している正規品から、同じ端末でも大陸(中国)から並行輸入したものまで、出所はさまざま。正規品は保証などのアフターサービスが充実しているが、保証のないかわりに安い並行輸入品を購入するユーザーも多い。
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キティ電話ながら「FUJIYAMA」と名づけられた怪しいGSM携帯電話。台湾製という噂も |
GSMは10年ほどの歴史があり、相当古い機種でも利用することができる。鴨寮街などを歩いていると、懐かしい機種に出くわす。もちろんSIMカードを挿入すればそのまま通話もOK。レア携帯電話ファン、旧機携帯電話ファンにとっては、まさに天国の香港! あなたも一度訪れてみてはいかがだろうか。
(携帯24編集部 木暮祐一)
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