キネツモ24

ついに開始された移動体向けデジタル放送“ワンセグ” 【まとめてチェック!!】“放送と通信の融合”の幕開けはここから!?
ついに開始された移動体向けデジタル放送“ワンセグ”

2006年4月18日

東京は桜も終わり、新緑が目にまぶしい季節に移りつつあります。そんなピカピカの季節に今年、新しい放送メディア“ワンセグ”が登場しました。ケータイでも、パソコンでも、カーナビでも、対応(受信機を内蔵)したデバイスなら移動しながらの視聴が、従来のアナログ放送よりノイズが少なく美しい映像が楽しめると言われています。ここでは、そんな“ワンセグ”について、まとめて紹介していきます。



ASCII24読者はワンセグをおおむね歓迎

モバイル機器をターゲットにした、もうひとつの地上デジタル放送──“ワンセグ”

 4月1日から7日まで実施したASCII24読者アンケートではワンセグについて、皆さんの興味・関心や、実際に使ってみたいか、どういう番組を見たいか、といった具体的な内容を聞いてみた。まず、ワンセグそのものの認知度について(友人・知人に“ワンセグ”について聞かれた場合、正しく説明できるか? という設問で)は、18.7%が“自信を持って答えられる”、60.0%がおよそのことは答えられる、としており回答者のうち8割近くがワンセグについて予備知識を持っていることがわかった。実際、3月下旬から4月頭にかけてTVのニュースや特別番組などでワンセグが頻繁に紹介されたこともあり、自ら進んで調べなくても自然とワンセグがこの時期に始まること、デジタル放送で移動中も奇麗な絵(映像)が楽しめること、などが浸透していたのだろうと推測される。

ずばり、ワンセグを見てみたい、使ってみたいと思いますか?
Q:ずばり、ワンセグを見てみたい、使ってみたいと思いますか?

 次に、そのワンセグを自分で使ってみたいと思うか、と聞いたところ、すでに使っている/すぐに使ってみたいという積極派は6.6%にとどまるが、夏までに/時期未定だが購入したいを合わせると過半数が使ってみたいと答え、高い関心を寄せていることがわかる。さらに当初は、視聴可能なエリアが東名阪の三大都市圏が中心で、全国のNHK放送局が試験放送を開始するというスケジュールになっているが、“視聴可能になったら使ってみたい”という答えも9.2%と少なくない。逆に、まったく興味がないという消極派/否定派は10.7%にとどまる。ワンセグはTV放送などと同様、受信機さえ用意すれば視聴のためにコストが発生しないという“気軽に負担なく楽しめる”という点で、広く受け入れられそうだ。

 ちなみに、すでに使っている/購入予定がある、という方にその端末を具体的に聞いたところ、au「W41H」(9.5%)、NTTドコモ「P901iTV」(8.2%)、au「W33SA」(5.0%)が多く、今後登場するボーダフォン「Vodafone 905SH」(6.3%)も支持を集めていた。これに比べて携帯電話機以外のデバイスは半分以下にとどまる。やはりワンセグはケータイとの相性がよさそう、という印象がかなり強い。

ワンセグ端末で見たい番組は、どんなジャンルですか? 当てはまるものをすべてお選びください。<複数選択>
Q:ワンセグ端末で見たい番組は、どんなジャンルですか? 当てはまるものをすべてお選びください。<複数選択>
ワンセグ端末で見るとすれば、どの程度の時間の番組ですか?
Q:ワンセグ端末で見るとすれば、どの程度の時間の番組ですか?

 そのワンセグ放送で、どんな番組を見たいのか、ジャンルと視聴時間で聞いてみた。ジャンルではニュース/天気予報が77.1%、次いでスポーツ中継が46.9%、情報番組が37.1%で、外出先ですぐにリアルタイムの情報を得たい、という需要が高いことが分かる。反対にドラマ/映画は10%そこそこで、じっくり楽しむ番組はかならずしもワンセグでは求められていないようだ。

 時間についても同様で、数分で完結するニュース番組などを求める人が44.7%と最も多く、次いで5〜10分程度で見終わるミュージックビデオのような番組が35.5%。ただ、スポーツ中継などは“そのときその場のシーン”“ハイライトシーン”が見られればいいわけで、必ずしも最初から最後まで集中してみる必要はない。そういう番組については26.6%の人が見たいと答えている。

ワンセグに肯定的な意見をお持ちの方にお尋ねします。ワンセグのどのような点に魅力を感じますか?<複数回答>
Q:ワンセグに肯定的な意見をお持ちの方にお尋ねします。ワンセグのどのような点に魅力を感じますか?<複数回答>

 最後に、ワンセグについて肯定的な意見/否定的な意見のそれぞれの具体的な理由を探ってみた。肯定的な理由については、やはり無料で使えることが60.3%と最も多く、次いでアナログ放送より画質がいい(54.6%)、ニュースや天気などのデータ放送が受信できること(45.0%)が続く。ただ、参加型番組のような双方向サービス、および録画視聴については支持が低く、必ずしも求められてはいない。地上アナログ放送と同じ番組を送出する“サイマル放送”が続いている現在は双方向サービスがほとんどないため、ユーザーも実感がもてないというところか。

ワンセグに否定的な意見をお持ちの方にお尋ねします。ワンセグのどのような点に不満を感じますか。
Q:ワンセグに否定的な意見をお持ちの方にお尋ねします。ワンセグのどのような点に不満を感じますか。あるいは、どういう点が改善されれば、使ってみたいと思いますか。当てはまる物があれば、すべてお選びください。<複数選択>

 逆に、ワンセグに否定的な意見を持つ人にその理由を聞いてみた。全体的に数値が低く、否定的な意見を持つ人が少数派であることを改めて認識するが、その中でも票が集まったのは、“長時間駆動する端末が欲しい”というもの。現状では2時間半〜4時間弱で、前述の“ユーザーが楽しみたい番組”の種別で言えば十分な時間と言えるが、バッテリーが切れてしまえばTV放送だけでなく電話/メール端末としても機能しなくなってしまう。ワンセグ対応端末「W33SA」のレビュー記事によると、バッテリー残量の目盛りが残り1つになるとTV受信が強制終了され、待ち受けなど最小限の機能はしばらく使えるようだが、それでも不安になることは間違いない。2〜3時間のTV視聴ができてなお、従来のケータイのように24時間の待ち受け、数時間の連続通話が可能なバッテリー容量を求めるのは、ユーザーのごくまっとうな心理といえるだろう。

 このほか自由回答で寄せられた不満を見ると、“コンテンツが面白くない”“アナログ放送と同じならわざわざ買う(使う)意味がない”“受信可能な範囲が狭い”“利用者のマナー/事故の誘発に不安”などの声が目立った。



 つづいて、各社が発表している“ワンセグ対応端末”やワンセグ関連の業務提携などのニュースについてまとめて紹介する。



携帯電話――NTTドコモ、au、ボーダフォン

NTTドコモのワンセグ対応端末「P901iTV」
NTTドコモのワンセグ対応端末「P901iTV」
ワンセグを最長約3時間45分連続視聴できる「W41H」
auのワンセグ対応端末「W41H」
auのワンセグ対応端末「W33SA」
auのワンセグ対応端末「W33SA」
ボーダフォンのワンセグ対応端末「Vodafone 905SH」
ボーダフォンのワンセグ対応端末「Vodafone 905SH」

 携帯電話機では、(株)エヌ・ティ・ディ・ドコモ(NTTドコモ)、KDDI(株)(au)、ボーダフォン(株)の3キャリアーがいずれもワンセグ対応端末を発表している。このうち4月上旬で発売されているのは、NTTドコモの「P901iTV」(ワンセグ受信可能時間は2.5時間以上)、auの「W41H」(3.75時間以上)、「W33SA」(2.5時間以上)の3機種で、ボーダフォンは「Vodafone 905SH」は6月発売予定となっている。

 アナログのTV視聴、あるいはFMラジオの受信機能内蔵端末に比べて、出足が鈍い印象は否めないが、その理由はNTTドコモの中村維夫社長が3月の定例会見で述べた、「今のサイマル放送(地上アナログ放送と同一の内容)ではTVの受像器と変わらない。文字放送やデータ放送をどのようにパケット通信サービスにつなげていくか、サイマル放送の義務化がなくなる2008年にどのように放送形態を変えていくべきか、ビジネスモデルも含めて提言しなければならないだろう」の発言に理由が集約されていると思われる。もっとも、NTTドコモにしても、「重さや厚みが増すものの、あって困るという人はいない。ほかの携帯電話機にも載せていくことは、当然やらなければいけないと思う」と述べるように、今後も搭載端末の登場は期待できそうだ。



ポータブルDVDプレーヤー――松下電器産業

松下電器産業のワンセグ対応ポータブルDVDプレーヤー「DVD-LX97」
松下電器産業のワンセグ対応ポータブルDVDプレーヤー「DVD-LX97」

 携帯電話機の場合、バッテリーを電話機能とTV視聴で共有している限り、電話やメールが使えなくなる/使える時間が短くなるというジレンマに悩まされることになる。その点、携帯電話機以外のポータブルデバイスにワンセグ受信機能を入れてしまうという発想は、ごく自然だ。

 松下電器産業のポータブルDVDプレーヤー「DVD-LX97」は、ワンセグチューナーを内蔵し、旅行先に持ち出してDVDで映画を楽しんだり、ワンセグでデジタル放送を視聴することができる。もちろんバッテリー内蔵で、電車や車での移動中にTV視聴は約9時間、DVD再生は6時間の連続駆動が可能という。価格は実売9万円前後と高いが、いつでも新鮮な映像に思う存分囲まれていたいというニーズを満たしてくれる製品だ。



ノートパソコン――ソニー

ソニーのワンセグ対応ノートパソコン「VAIO type T」
ソニーのワンセグ対応ノートパソコン「VAIO type T」

 ソニーは1月発表の春モデルパソコンに、ワンセグ対応モバイルノートパソコン「VAIO type T」をラインナップしている。視聴は専用Windowsアプリケーション「VAIOモバイルTV」で行なうため、Windows XPを起動した状態でなければワンセグを視聴できないが、使い勝手は良好で、パソコンでの作業の合間に“ながら見”するにも便利だ。特にノートパソコンではバッテリーも録画して楽しむためのHDDも大容量で心強い。地上アナログ放送/地上デジタル放送などは家でじっくり見られるが、外出先や思い立ったときに、普段使っているモバイルノートでもTVが見られる。こういうオプションはちょっとうれしいものだ。



放送と通信の融合――業務提携、ならびに関連展示会レポート

KDDIとテレビ朝日の実証実験のイメージ
KDDIとテレビ朝日の実証実験のイメージ

 最後に昨年からのキーワードになっている、“放送と通信の融合”を図るべく進められている業界の業務提携についてまとめておこう。放送と通信の融合というと、インターネットで放送局の映像資産を再映し、そこに既存のポータルサイトが視聴者を誘導する、という図式が思い浮かぶが、こうした仕組みは必ずしもビジネスにはなりにくい。“TVは無償で見るのが当たり前”という認識が根強いため、いかに理由付けしてもインターネットで配信される映像に視聴料を払うという習慣が根付きにくいからだ。

 これは携帯電話機でワンセグを受信する場合も同様で、単に番組を見るだけなら無償と考えるユーザーが多いのは変わらない。しかし、携帯電話機の場合、“便利な付加サービスを有償で提供する”というビジネスモデル(ユーザーから見れば“利用スタイル”)を定着させた実績があり、放送局側も自分たちの映像資産に付加価値を付けて有償サービスに昇華させたい、という狙いがある。そうした事情もあって、都内キー局を中心に通信キャリアーや端末メーカーとの業務提携が急速に進みつつある。この動きには、今後も大いに注目していきたい。






[通常ページに戻る]
ASCII24 http://ascii24.com/
Copyright (C)2000-2008 ASCII Corporation. All rights reserved.