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【特別企画】ソフトバンク、“0円づくし”ゴールドプランの実像とは――新プランを読み解く


2006年11月10日

MNP(Mobile Number Portability:携帯番号ポータビリティ)の施行から2週間あまり。この間、よくも悪くも話題を独占してきたのは、ソフトバンクモバイル(株)だ。MNP施行前夜に突然発表された“5つの予想外”に始まり、同社が連日のように宣伝してきた“0円”をうたう新料金プランの数々。発表が一段落したかに見える今、現状を整理したので、同社への乗り換え/同社からの乗り換えを考えている方はチェックしてみてほしい。MNPを利用するかしないか、最大の検討材料である“料金”について、ここできっちりと理解できるはずだ。

“通話料・メール0円”はホント?

0円プラカード
通話料・メール代0円のプラカードを掲げるソフトバンクモバイルの孫正義氏(10月23日の発表会にて撮影)

ソフトバンクの新料金プランは、“オレンジプラン”“ブループラン”“ゴールドプラン”の3種類だ。このうちオレンジプランとブループランは、それぞれKDDI(株)、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの料金体系をそっくり模倣し、そこから基本料金を税込みで210円引いたもの。他社が料金値下げなどのプラン改訂を行なった場合には、24時間以内に対抗して値下げし、210円安の水準は崩さないとも発表している。インターネット接続サービスや紙での請求書発行など、オプションの選び方次第では、この210円の差はなくなるが、基本的には他社と同程度の料金で利用できることになるわけだ。

オレンジプランとブループラン
他社キャリアーの料金プランを包括し、そこから210円(税込)割引する“オレンジプラン”と“ブループラン”
ゴールドプラン
通話料・メール代無料をうたう“予想外割”こと“ゴールドプラン”

そして、新料金体系の肝となるのが、通話料・メール0円をうたう3G専用のプラン、ゴールドプランだ。同プランの月額基本料金は9600円。これだけ見ると高く感じるが、2007年1月15日までに同プランに加入した契約者は、2880円という格安の月額基本料で利用し続けることが可能になる。これは、ゴールドプランに適用される継続割引(加入年数が長くなるほど、割引率がアップするオプション)である“継続割引(単身者向け)”、“家族割”の11年目以降と同じ割引率(70%)がすぐ適用されるというもの。ソフトバンクが謳う“基本料金70%引き”とは、これを意味している。

また、ゴールドプランでは、ソフトバンク間の通話料が無料となる。ただし、21時から翌0時台の通話時間に制限があるので注意が必要だ。この時間帯に、同社の携帯電話への請求月内の累計通話時間が200分(3時間20分)を超えると、超過分は30秒あたり21円と有料になってしまう。200分と聞くと長く感じるかもしれないが、1日あたり約6分半の計算になる。夜に長電話したい人ならすぐに使い切ってしまうだろう。

発表当初、「高い」「複雑でわかりづらい」と批判されていた他社の携帯電話、PHS、固定電話などへの通話料は、NTTドコモの“タイプSS”やauの“プランSS”と同じように曜日や時間を問わず、30秒あたり21円と統一された。高いのは相変わらずだが、わかりやすくはなったといえる。ちなみに、ゴールドプランでは他社携帯電話や固定電話への“無料通話分”は存在しない。

各社ごとの通話料(30秒あたり)の違い
固定電話への発信 携帯電話への発信
NTTドコモ 7.785円(タイプLL)〜21円(タイプSS)
au 7.785円(プランLL(※1))〜21円(プランSS)
ソフトバンク 21円
ウィルコム(PHS)(※2) 10.5円 12.125円
※1 1分15.75円を30秒換算にしたもの

※2 通話料はウィルコム定額プランのもの

通話料と共に無料とうたわれているメールの送受信料金も、ソフトバンク間のみに適用され、他社の携帯電話やパソコンとのメール送受信に関しては、従来通りの料金がかかる。これも小出しに改訂されて情報が錯綜していたが、MMS(S!メール)とSMSのどちらも無料になることで落ち着いた。MMSに関しては、電話番号を宛先としたメールだけでなく、“〜@softbank.ne.jp”もしくは“〜@x.vodafone.ne.jp”宛のメールも無料で利用できる(関連記事)。もちろん、写メールやムービー写メールなどの添付ファイル付きメールに関しても同様に無料だ。



“端末0円”とはこういうこと

ゴールドプランでは、“新スーパーボーナス”の加入が必須条件になっている(オレンジプラン、ブループランでは加入しなくてもよい)。これは、同社の携帯電話機を割賦(分割払い)の形で販売する割引サービス。従来の“スーパーボーナス”では、購入時に販売店で決められた金額を支払う“頭金”が必要だったが、新スーパーボーナスでは頭金が無料になった。これが宣伝されている“端末0円”の意味で、店頭で“お持ち帰り価格(頭金)0円”などと記されているのを目にした人も多いだろう。

これだけでは「月額基本料2880円だけで利用できる」が嘘になってしまうが、それを解決すべく、新スーパーボーナスには“特別割引”が用意されている。これは、端末の分割払いの金額と同額か、それに近い金額(月2280円が上限)を、ソフトバンク側が負担し、月額基本料から割り引いてくれるもの。例えば、4万5000円程度の価格の端末を2年のプランで購入した場合、1回あたりの支払金額は1880円になる。これが基本料金に上乗せされることになるが、同時に特別割引として1880円が割り引かれるため、ゴールドプランの基本料金2880円のみで利用できるのだ。ただし、これは2年コースの場合で、1年半コースでは数百円程度、1年コースでは千数百円程度の上乗せが発生することに注意が必要だ。

また、『905SH』や『X01HT』などのハイエンド端末では、もともとの端末の価格が高くなるため、分割金と特別割引の差額が発生する。例えば905SHでは、差額の390円が基本料金に上乗せされ、ユーザーは2年間、それを支払っていかねばならない。ちなみに、ソフトバンク側が負担する特別割引の額は、端末ごとに一律で定められているが(最大で月2280円まで)、販売価格はショップがそれぞれ独自に設定する。そのため、分割払いの金額は一定ではなく、ハイエンド端末で上乗せされる額も購入したショップごとにまちまちになる。さらに、新規契約と機種変更でも負担金額は異なり、機種変更での負担金額は過去の利用期間に応じて変わってくるので、一律にいくらとは言えない。

主な機種ごとの特別割引金額は以下のとおり(新規契約の場合)。

最大で月2280円が割引される機種(総額5万4720円)
910T、810SH、811SH、X01HT、705P+iPod2G、705SC+iPod2G、706SC+iPod2G、705SH+iPod2G、905SH、904T、904SH、903T、804SH、803T
最大で月2080円が割引される機種(総額4万9920円)
705P、705SC、706SC、810T
最大で月1880円が割引される機種(総額4万5120円)
804N、705T、705SH、703Shf、702NKII

新スーパーボーナスに加入したユーザーは、1年コース(12回)、1年半コース(18回)、2年コース(24回)の3パターンから支払期間を選び、端末料金を分割で払うことになる。もちろん、支払い期間が短いほど1回あたりの支払い額は高くなる。この割賦金額は、月額基本料金に上乗せされる形で、加入後3ヵ月目から支払っていくことになる。

スーパーボーナス加入時の実質負担額の例(カッコ内は支払い総額)
新規 機種変更
(12ヵ月以上)
機種変更
(18ヵ月以上)
機種変更
(24ヵ月以上)
Softbank X01HT 月額690円
(1万6560円)
月額1140円
(2万7360円)
月額1050円
(2万5200円)
月額960円
(2万3040円)
Softbank 910T 月額690円
(1万6560円)
月額1010円
(2万4240円)
月額920円
(2万2080円)
月額830円
(1万9920円)
Softbank 905SH 月額390円
(9360円)
月額1050円
(2万5200円)
月額960円
(2万3040円)
月額880円
(2万1120円)
Softbank 706SC 0円 月額310円
(7440円)
月額220円
(5280円)
月額130円
(3120円)
Softbank 705P 0円 月額260円
(6240円)
月額180円
(4320円)
月額90円
(2160円)
この表内の金額は販売店で定めた月額支払い金額の一例であり、この金額で購入できることを保証するものではありません

以上のように、わかりづらさという難点は置いておくと、基本的には“おいしい”サービスである新スーパーボーナスだが落とし穴がある。それは、契約期間の途中で機種変更や買い増し、解約をした時だ。この場合、残りの分割金を一括で支払わなくてはならないのだ。しかも、特別割引による補てんもなくなる。基本料金に上乗せされている月々の負担額に特別割引の額を足して、残りの返済回数をかけたものが一括で請求されるわけだ。特に、ハイエンド端末を購入した人や、返済回数が多く残っている人は、かなりの金額になる。ローンを背負わされるような感覚は気持ちのいいものではないが、この落とし穴を理解した上で利用するなら、新スーパーボーナスは決して悪いサービスではないだろう。



月2880円“のみ”で利用するには

最安の“月額基本料2880円のみ”で利用するには、どうしたらいいだろうか。まず、3G端末を選び、2007年1月15日までにゴールドプランに加入することは必須だ。もちろん、端末を選ぶ際にはハイエンドは避け、負担金額が発生しないモノにする必要がある。無料通話分がないため、PHSや固定電話を含めた他社への通話も行なわないこと、21時から0時台に同社携帯電話機への累積通話時間が200分を超えないように注意することも、既に述べた通り。また、同社間で無料になるMMSを利用するためには、月額315円の“S! ベーシックパック”に申し込まなくてはならないため、SMS以外のメールは利用できないことになるほか、同社のポータルサービス“Yahoo!ケータイ”を含むインターネット接続もできない。

最低限必要な金額
月額基本料:2880円
オプションを利用するとかかる金額
S! ベーシックパック:月額315円(インターネットの接続、Eメール使用時に必要)
パケットし放題:月額1029〜4410円(パケット定額)
スーパー安心パック:月額498円(修理代金を100%負担してくれる、など)
スーパー便利パック:月額498円(留守番電話サービスやアドレス帳保管サービス、など)

さらに、2007年1月15日までのキャンペーン期間に加入した人は、“パケットし放題”(月額1029円〜4410円)が最大2ヵ月、“スーパー安心パック”(月額498円)が最大3ヵ月、“スーパー便利パック”(3Gは月額498円)が最大4ヵ月、それぞれ無料になる特典がある。だが、それぞれ無料期間が終わってしまうと、当然有料になり、最低でも月額料金は4905円になってしまうのだ。無料期間終了後には無料で解約もできるが、解約手続きが必要になるので注意しよう。

以上のケースは極端な例だが、通話専用の“2台目の携帯電話機”としてソフトバンクを考えている人などは、頭に入れておいたほうがよいだろう。ただし、月額2900円で、同社間だけでなく070で始まるPHS端末との通話が無料な上、他社やパソコンとのメール送受信も無料なウィルコムと比べると、魅力は少ないかもしれない。だが、エリアやユーザー数ではウィルコムより優位にあるため、ソフトバンクを選びたいという人は、自分の周囲に同社のユーザーが多いか、見極めてから選ぶのがいいだろう。

パブリックイメージに惑わされず、時期を待とう

10月23日の緊急記者会見から、連日のように発表され、変更され続けてきたソフトバンクのサービス内容であるが、11月第1週でいったん落ち着いた格好だ。しかし、これまでの経緯から推測すると、まだまだ料金体系が変わる可能性は十分ある。

「ケータイの料金をわかりやすく」とうたいながら、複雑すぎる料金”、“「ほかより高いということは、一切ない」と言いながら、実際には割高なケースも多々ある”、“公取からも質問を受けた広告内容”などなど、いろいろな問題点が指摘されているが、結論としては、相次ぐ批判から生まれてしまったソフトバンクに対する“パブリックイメージ”はいったん横に置いて、いち消費者として冷静に判断しよう、ということだ。前述のように、サービス内容をキッチリ理解した上で利用するならば、確かにおトクになるケースもある。

もしも、他キャリアーからソフトバンクに移行するかどうかで迷っているならば、年明けまで待ってみることをオススメしよう。それまで待ってもソフトバンクのサービス内容が安定しないのであれば、現状のキャリアーを解約してまで、ソフトバンクに移る必要はないわけだし、ともかくソフトバンクの“大創業祭キャンペーン”期間は2007年の1月15日まで続くのだ。あわてずともまだ時間は十分ある。

“0円”を大きく表示したり、販売店にて“0円”を並べて強調しつつも、細かい但し書きを読むと実は0円ではない、などの宣伝戦略や商売の仕方など、同社のやりかたには、確かに気になるところがいくつかあるとはいえ、やはり“より品質がよく、かつ価格が安いサービスを選びたい”というのが、消費者のホンネであるだろう。そこを忘れないでおきたい。

(すずらん元気、井手下剛/SEMANA)




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